“宇宙”ウルトラクエスチョン―地球は孤独な存在なのか?

と題された*1、アーティスト・ヤノベケンジ×惑星科学者・井田茂のトークショー青山ブックセンターに行ってきました、日曜日。
正直、「えっヤノベさん! えっトークショー! ええっ今日! 行くいくっ!!」というイキオイとテンションだったため、トークショーのもうひと方が誰なのか、テーマが何なのか、そもそも何のイベントなんだかもさっぱりわからぬまま会場へ。開催中の、日本科学未来館のブックフェアの一環だった模様。
今回は、現代アーティストと惑星の専門家が宇宙の話をするということで、トークショー主役の2人も初対面だし「何を話せばいいやら」状態だったみたいだけど、フタ開けてみたら知的好奇心をぷすぷすと刺激される、面白い内容でした。月形成のシュミレーションCGとか見ながら、元・天文少女だった血が騒ぎ、飽きずに聞き通した約2時間。かしこくなった気がする! ちょう満足。
主に、ヤノベさんが井田さんに質問をぶつけて話を聞きだすというスタイルのトーク。素朴な疑問から専門的な話までいろいろ出たけど、いちいちここに書き出しても無意味なので割愛。面白いなあと思ったのは、ヤノベ→井田のトークスタイルが逆転して井田さんがヤノベさんに話を向けたとき、途端に話のキィワードに「自分」という単語が増えること。つくづくアートというのは根本に「自分」ありきの、個人的な表現活動なんだなあと思った。逆に、科学者というのは主観を排して常に客観で物を見る必要があるため、「自分のない世界」なんだとか。世界中の研究者と同じ舞台で研究を積み重ねないといけないので、議論するときの「共通言語」を持たないといけない、そのためまず何をするにも厳密な「言葉の定義」から始める、という話とか面白かったな。確かに、同じ言葉にAという意味を含ませて使っている人とBという意味を含ませて使っている人が話し合っても噛みあうことはないもんなー。日常生活してても「言葉」の怖さはたびたび感じることなので、噛みしめるぜこの話…科学者凄し。(←科学に対しても文系発想でしか食いつけません。)
あとは、シミュレーションの繰り返しでデータを構築していく話になったときに、そのシミュレーションで「“ダークサイドに堕ちて”自分の理想の世界を作り上げてしまうことはないのか」(うろおぼえだけどこんなニュアンスのこと)と訊いたヤノベさんの発想が完全にサブカル的、というか「ヤノベケンジ的」で、ちょっとうほっとなりました。さすが征服兵器シリーズとか作ってたアーティストだなーと勝手ににこにこしてしまったよ。(ていうか咄嗟に「ダークサイド」という言葉をチョイスするあたりが…)


終演後、買おう買おう思ってたヤノベケンジ作品集をようやく買ったよ。

ヤノベケンジ1969‐2005

ヤノベケンジ1969‐2005

そんでサイン書いてもらった。わーい! ささーっとトらやんのイラストを描き、返してくれるときに笑顔で「トらやん!」。うおお…!(惚)


帰りはてくてく歩いてマメヒコまで。夏デザートのハナカンと、緑茶牧之原をオーダー。ゆっくりお茶を飲みながらゆっくりゆっくり作品集を見た。ヤノベケンジの作品は、ユーモラスで愛らしく、そして切ない。10年前、初めて見た個展、鉛の箱に封印されたアトムスーツを見たときはまだ感じることができなかったいろんなことを、今は感じることができる。もちろん完全にではないかもしれないけれど。
なんか、うまく言えませんがむしょうに人に会いたくなった。会いたい人がたくさんいるよ。

ハナカンはすばらしく美味しかったです。オレンジの風味とふっくら煮られた豆、そしてつるりと美しい半透明の寒天。ああマメヒコ!

*1:ウルトラクエスチョンとはいかにもヤノベさんらしいワードチョイスだがこの講演タイトルは彼が考えたものだろうか?