グラナダTVドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」

遅ればせながら明けましておめでとうございます。新年の挨拶のタイミングを完全に逃しているので、今年の抱負とか豆腐とか毛布とか、そういったものは述べずにしれっと始めたいと思います。今年もよろしくお願いします。

第29話:ソア橋のなぞ

■原題が「The Problem of Thoe Bridge」なんだから、「ソア橋事件」とかにすればいいのに…「なぞ」とか書かれるとどうも間が抜けたタイトルに見えてしまう…

■これもまさに悲劇、っていう話。暗いよー切ないよー。特に冒頭の、ミセス・ギブソンが赤い花を差し出すシーン、切ない。

■赤いドレスと白いドレスの対比が見事。

■ビリーがかいがいしくて可愛いよう。しかしこのビリーの登場は唐突だ。(まあ原作でも唐突に出てくるキャラクターだけども)

ギブソン氏の態度の尊大さ! 日本語版だとよりわかりやすい。最高だ。

■日本語版、ホームズ「(ミス・ダンバーに自分の想いを)言ったのですか!?」。この呆れたような非難がましい言い方! 露口さんグッジョブ。

■日本語版、ワトソンに「君をよく知る友人は、君を計画性のある男だとは言うまいが」ってホームズ酷すぎる。

■ソア橋での実証実験。まっさきに疵の有無を確かめに屈みこむホームズと巡査、まっさきに拳銃の行方を追って川を覗き込むワトソン。「僕の拳銃だ、ホームズ」。このシーン秀逸すぎる!

■ホームズ、ワトソンに「寛大だねえ、君も!」。そうさそれでこそのワトソンだよ。寛大だからオマエと付き合ってられるんだぞホームズ感謝しろ!(何度でも言いますが私はワトソンびいきです)



第30話:ショスコム荘

■ホームズシリーズには「○○荘」ってタイトルが多くてよく混乱する。これは競馬がらみのお話でしたね。

■相変わらず落ち着きがなく、相変わらず部屋散らかし放題のホームズ。

■ジャスパーカワユス。ええ子じゃ… みんなジャスパーのこと好きなのな。

■ショスコム・プリンスカワユス

■「殺されるところだった」と文句を言うワトソン、まったくそれを聞いてなくて「実験は大成功だった」と言うホームズ。おいワトソンもっと怒っていいよ!

■しかしこのシーン、日本語版でカットされてるよう。

■「地下室の鍵を借りたいのだが」「何のためです?」「入るためです」。

■同情できない、と判断すると、怪我人に対してもわりと冷たい態度のワトソン。

■ラスト、なんか無縁社会の末路っぽい…



第31話:高名な依頼人

■このDVD、17巻目が「高名な依頼人」「這う人」って、なんだこの組み合わせ。一気見したらおなかいっぱいになってしばらく何もしたくない気分になりました。

■しかしグラナダ版の「高名な依頼人」ちょう面白い! 原作で最もアブノーマルな事件を扱った一編。

■冒頭からトルコ風呂のシーンだし。(関係ないけどな!)

■原作ではハンサムな色男、って設定じゃなかったっけかグルーナー男爵。グラナダ版では、サディスティックな性癖を持ってる爬虫類のように冷たい男、ってあたりが強調されたキャスティングのようにお見受けした。

■立ち聞きしてるミセス・ハドスン、かわいい。

■がちゃがちゃと騒がしくしゃべりまくるホームズ。「こちらは?」とキティに気付くまでの流れが秀逸だ。

■キティ役の女優さん、ちょうかわいいな。

■ポーキーかっこいい! そして親族代表の竹井さんに似てる。

■この回の随所に見られるワトソンの素直さには泣ける…

■顛末は完全に知ってるけど、ワトソンが中国の磁器に四苦八苦するのにはいちいちドキドキする。

■いくつになっても好奇心旺盛なワトソン。依頼人の正体がわかって、ホームズに知らせようと部屋に駆け上がるのがラブすぎる。きみは永遠の少年か!


第32話:這う人

■ゴ リ ラ!!

■「都合良ければ来い、悪くても来い」

■そして呼び出されたワトソンに「少々上の空だった」。おい!

■この回は、ホームズのワトソンの扱い方がことのほか酷い。

■捕まえた連中をゴリラの檻に放り込むホームズ。大惨事になりかねないよ…?

■改めてドラマで見てもキテレツな話だ。ていうかほぼオカルト。



第33話:サセックスの吸血鬼

■正直に言おう。つまんなかった。

■原タイトルも「The Last Vampire」ってなってたし、もう原作とは別物。ホームズとワトソンのお茶目なシーンも少ない。原作の、妻が継子を貶めるわけにいかずに一人で苦悩していたという胸の痛む事件の顛末も、赤ん坊が最初の方でいきなり無関係に死んじゃったり(肺炎って!)で、なんだか感動がうすっぺらくなってしまった。

■ていうか、そもそも今回の物語の中心を成していた作家先生と100年前の陰惨な事件ていうのが完全に蛇足。

■そんな感じで全体的にアレな感じの出来な今作品ですが、イギリスの田舎の陰気で頑迷な雰囲気がいい感じに出てて、そこは面白かった。

■ワトソンのお医者っぽいシーンが多くてそこは萌える。



第34話:犯人は二人

■きたよ、きたよ!! だいぶアレンジしてるけど構成が上手い。面白かった!

■映像ちょうかっこいい。アングルとか切り返しとか、細かく凝ってる。

■愛人が男娼。…これはもうなんだろうか縁談が破談になっても自己責任的に仕方なくないかね?

■ホームズの化学実験シーンひさしぶり。

■配管工事までできる万能ホームズ。

■ミルヴァートン、原作のイメージ通りの外見。パジェットのイラストそっくり。

■「美しき自転車乗り」の頃に比べて格段に聞き込みが上手くなってるワトソン。成長したねえ…(母のきもち)

■サービスショットまんさいじゃない?(入浴シーンを見ながら)

■ふおお…(シリーズ中唯一のホームズのキスシーン)

■そしてそのキスシーンをばっちり削除してる日本語版。

■ジェレミーがもちっと若けりゃなあ…という思いもある今回ですが、いや、でもやっぱりしっかりとかっこいいんだ。

■ホームズの結婚詐欺まがいの捜査に対するワトソンの反応がいまいちはっきりしない。原作では、婚約したと聞かされて喜ぶ→捜査のための方便だと知って驚き、非難する→ホームズに言いくるめられる、っていう流れで、ワトソンらしいといえばワトソンらしいとても素直な反応を示すんだけど。ワトソンの反応よりも、複雑に逡巡するホームズの心理描写に重きを置いた結果の演出だろう。

■でもその後のホームズに対する対応がそこはかとなく冷たいワトソン。そしてホームズもイライラしている。面白いなこのへん。

■ホームズのイライラにも余裕で対応のミセス•ハドソン。

■ほんとにワトソンは女性担当だな。女性に対する目配りの細やかさは徹底してる。依頼人のブラックウェル嬢を気遣い、ハドソンさんにもちゃんとフォローを欠かさない。

■ホームズとワトソンが珍しくそわそわしながらミルバートン迎え撃つための段取り確認。

■いい図だ…(ミルバートンと交渉するホームズとワトソン)

■このケースはサンデル的な題材じゃないかな

■ホームズとワトソンが言い争うってシーンはぞくぞくするわ…

■そして結局ついていくワトソン。ラブすぎる。

■「考えるような事件か? 推理の出る幕がないから困る!」って、この物語の本質をこんなズバッと自ら…ホームズ…そこは目をつぶってあげて…

■しれっとした顔でアギーに案内させるホームズ。酷いよアギーがかわいそうだよ!

■舞踏会。なんでホームズだけ夜会服じゃないのー。白蝶ネクタイ…

■レディ・ウィンステッドは図らずもホームズたちの折角の計画を台無しにして危機に立たせてしまったのだな。

■結末知ってるのにドキドキする

■ワトソン、足を引きずりながら退散。細かいな。

■「感傷からか?意外だね」

■そして自らもいささか感傷ぎみになってるホームズ。やや喜劇的な原作のラストと違うのが残念だけど、これはこれでいいラストシーンだ。グラナダ版はホームズの人間性にこだわってシリーズを構築している感じ。

■しかしレストレードが2人の犯人の特徴を述べるシーンがないと、「犯人は二人」っていう邦題がもうひとつ生きないな。