『Show the BlackⅡ イウ コエ オト』

大川興業第31回本公演『Show the BlackⅡ イウ コエ オト』
2006.10.3(火)〜10.9(月・祝)
下北沢ザ・スズナリ
作・演出:大川豊
出演:未公表
http://www.okw.co.jp/








ものすごく面白くてそして半端なく疲れました。暗闇というのがどれだけ人を緊張させるのか、それを感じた舞台。おそらく、ふつうに舞台を見ているときよりも瞬きした回数が少なかったんじゃないだろうか。暗闇を凝視しすぎたおかげで劇場出てからしばらく視覚がおかしかったです。頭痛したし。
視覚障害を持つ主人公が、臓器移植手術を受ける。そして自分の人格がドナーの人格に侵食されていくのではないかという恐怖、ボクシングというスポーツを始めたことによる葛藤と、目が見えない暗闇の中に孤独に居ることに対する恐怖。それが深い暗闇の中に観客も身を置くことによってリアルに迫ってくる迫真の「無見劇」。見えないということがわかっていながら暗闇にいる筈の役者の気配を探してやたらとキョロキョロしてた気がします。ボクシングの試合シーンはさすがに圧巻。足音とグローブのぶつかる音と様々な声とがすぐ近くで聞こえるのはちょっと怖くもありました。最後、試合相手の気配が「見えて」きた主人公、それにあわせて観客の目の前に薄ぼんやりと浮かび上がってくるリング。
ストーリーは単純かもしれませんが、それをこういう形で「見せ」よう、というその演出と、その効果を最大限に引き出そうという細心の目配りが活きた舞台。