『墨攻』

映画『墨攻』観てきました。
隣の席にはカップルが座ってたんだけど、いいの? バレンタインデーにこのチョイスで…
って余計な世話ですね。はいはい。










うわーん、面白かったよー!
とはいえ、万人受けするとはとても思えないけど。でも、歴史好き・アジア映画好き・オヤヂ好きの三拍子揃ってる人にはたまんないんじゃないかしら。というわけで私にはたまんなかったです。心の中で何度「ぎゃああ、アン・ソンギ!!」と絶叫したことか。かっこいいいいい。アン・ソンギだけじゃなくてキャストみんな良かった。牛子張役の錢小豪、どっかで見たことが…って思ってたら、香港ノワールものにチョイ役のチンピラとかでよく出てた人だよね? わあ立派になって!(何者だ私) アンディ・ラウという俳優、私は今までそんなに興味なかったんだけど、今回ほぼ初めて格好いい、良い俳優だなあと思った。優等生的なイメージの強いアンディにはハマリ役だったんじゃないかしらん。范冰冰、可愛かったなあ。最後、すぐ近くに革離が自分を探しに来てるのに助けを求めることもできず、結局革離が彼女を見つけたときは手遅れだった…っていうあたりとか切なくて泣けてきた。革離が探し回るシーンとか、やきもきしてものすごいドキドキしながら見ちゃったよ。
監督誰だか知らないまま観てたんだけど、最後のエンドロールでジェイコブ・チャンだったと知ってちょっとびっくりした。というのもこの人の作品て『流星』*1しか観たことないんだけど、この『流星』はわりとしっとりとした現代ホームドラマ的な内容だったんで、あんまりこういう土埃臭い歴史モノ、しかもかなりエンターテイメント性の強い作品なんか作るイメージが湧かなかったのね。でも、在るべき場所に帰ることの一方の寂しさや残酷さ、どうにもならないことの中で苦しむ人間の姿、でもやっぱり自分が「是」とするものに従う人間の強さ、そんなあたりに2作品に通じるものを感じたら、同じ人が一見方向性のまるで違う作品を撮ったことに何の不思議も感じなくなった。とてもいい脚本だったしいい演出だったし、総じてとてもいい作品だったと思う。
最近、歴史モノ(?)でもビジュアル重視な、派手な色彩と派手なアクションがウリの作品が多くて、それはそれでいいと思うし好きだったりもするんだけど(『HERO』とか『PROMISE』とかさー)、この『墨攻』はどっちかというと全体的にざらっとした荒い質感の画面で、登場人物たちの衣装も織物の生地だったり皮だったり、色彩もあまり多くなくてどっしりと重い色調が主。アクションは派手だけどどのシーンを取っても自然でかつ美しく、そんなリアルさに物語世界に没頭できた。
原作の漫画は未見ですが、原作の原作である酒見賢一の小説は大昔読んでずいぶんハマッた記憶がある。むう、これは両方押さえとくべきか…

墨攻 (新潮文庫)

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墨攻 (1) (小学館文庫)

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*1:

流星?THE KID? [DVD]

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