親族代表THE LIVE『(発電所)』

親族代表THE LIVE『(発電所)』
2008.2.14(木)〜24(日)
新宿 THEATER/TOPS
脚本・演出:福原充則(ピチチ5)
脚本提供:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(ナイロン100℃)/ブルースカイ/岩井秀人(ハイバイ)/川尻恵太 (SUGAR BOY)
出演:親族代表 竹井亮介野間口徹嶋村太一(声のみ)
ゲスト:犬飼若博・小村裕次郎・三浦竜一・植木夏十
親族代表公式:http://shinzoku.cool.ne.jp/

14日、初日観てきました。以下、ごく簡単に。記憶曖昧な部分はごめんなさいね。










OP(携帯など音の出る機器の電源は切ってねアナウンス&嶋村太一降板のお知らせ)
ハイジ姿の竹井さんがぶいんぶいんとブランコ漕ぎながら出てくるんだから面白くないわけがない。ツカミはばっちしのOP。私は真正面に座ってたので目のやり場に困りました。(ハイジ、スカートの中まるみえ)


1.「ゴリラ」 作:川尻恵太/ゲスト:犬飼若博
手塩にかけて育てたゴリラ「タケオ」に逃げられてしまった動物園のゴリラ飼育員(野間口・犬飼)と、彼らの上司である「菊池さん」(竹井)のやりとり。菊池さんは「タケオ」にそっくり。
一番コントらしいコントだったかも。明確で分かりやすい構成と笑いやすい雰囲気。でもオチがけっこうシビア(っていうのか?)だったりして。テンポよくコロコロと転がっていく感じが楽しい一本。


2.「日本代表の男」 作:ブルースカイ/ゲスト:小村裕次郎
オリンピック出場を目前に控えたレスリング選手・竹井は、地下鉄のホームから転落した女子高生を助けるが、その際電車に撥ねられ右足を失ってしまう。その女子高生の兄で刑事の野間口、その上司の小村が病院に竹井を訪ねてくるが、その目的は見舞いではなく「救助とみせかけてバストタッチ疑惑」の捜査だった。
反論できない不条理が細かく重なっていく展開、いろいろギリギリなコネタ。ブルースカイ節!
ブルースカイのネタではいつも竹井さんが不憫なツッコミ役。


3.「コンビニ」 作:岩井秀人/ゲスト:三浦竜一
深夜のコンビニ。店員(三浦)に間違ったタバコを渡された男(野間口)がそれを交換してもらいに来るが、間違いに対して謝らない店員に混乱させられていく。
岩井さんの作品は初見でしたが、観る前から「私たぶんこの人の作品好きだ」と思ってたら案の定ツボに入りました。爆笑ではなく、どうしょうもないクスクス笑いが漏れる感じ。笑うつもりで観に来た人には衝撃的な作品だったんじゃなかろうか。あと、とにかく出演者たちの細かい演技が素晴らしい。今回最もお気に入りの一本。


4.「ラブ・トライアングル」 作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/ゲスト:植木夏十
ルミ子(植木)に二股かけられていた男2人(竹井・野間口)がルミ子の部屋でハチ合わせ。3人が噛み合わない会話を重ねていくうちに複雑な三角関係に。
THE・ケラ!という感じの作品。始まりからテンション高く飛ばしてあっというまに不条理ギャグの世界に引き込まれる。このへんの引きの強さはさすが。でも後半ぐずぐず。脚本の上がりが遅かったことも考え合わせてちょっと尻切れトンボになってしまったねえという感じ。まあ、これもケラの作風っちゃそうなのかも知れないけど…いまいち消化不良で勿体無く感じてしまいました。
植木夏十カワユス。


5.「虫けらでした」 作:福原充則
いじめられっこの中学生・竹井くん(竹井)とのまちゃん(野間口)。いじめられっこ同士なんとなく一緒にいるが、ふとしたことで心と体が入れ替わってしまい、お互いがお互いを軽蔑しあっていることが露呈されていく。
これはゲストなしの完全二人芝居。最後、「自分でいることにうんざりしていた」という2人が、これからお互い違う人生を歩んでいこうと前向きにオチがついてラスト、とみせかけて、というか実際これがラストなんだけど、見ている方にも2人の人生が入れ替わったところで輝かしくなることなんかない、というのがわかる、相変わらずぎゅいんと胸にくる福原脚本でした。心と体が入れ替わるビフォア・アフターの2人の演技のスイッチの切り替えが見事。さすが。
でも、前回の『りっしんべん』でも中学生ネタだったんで、あーちょっと被っちゃったな、と思った。

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前回の『りっしんべん』に比べるとインパクトに欠けますが、その分じっくりじっくり笑わせる雰囲気で、初日にして非常に纏まったものを観せてもらった。後になってからじわーっと「ああああ面白かった!!」とくる感じ。でもちょっと小さく纏まりすぎてしまってる感はアリ。公演数重ねていくとどこかで突き抜けていくのかも知れないけど。
…ってことを考えると、親族代表における嶋村さんの不在ってやっぱ大きいのかもな…
あと、福原さんの演出→大掛かりな仕掛け、というのが頭にあるので、その点でちょっと淋しかった。ゴリラの手に野間口さんが吹っ飛ばされるシーンにはびっくりさせられたけども。
親族ライブのときは毎回「作家当て」も楽しみの一つですが、今回は脚本家に縁の深い人がゲストで出てたので分かりやすかったですね…ちょびっとだけがっかし。
とはいえやっぱりすごく面白かったです。竹井さんも野間口さんもべらぼうに上手いな! 今回も多様な役を自由自在。役者が上手いと観客のストレスが減る(笑
あと、野間口さんを「SP」田中一郎でしか知らない、という方が今回観客の中でもけっこう多いんじゃないかと思いますが、そういう方にはたぶん衝撃的だったんじゃないでしょか。表情豊かで、弱々しい役も傲慢な役もできる、歌も歌っちゃう野間口徹。これでもっとこの人の魅力にハマるといいと思うよ! そんで親族代表に、そして舞台そのものにもっとハマればいいじゃない。