「魁! ナンセンス経営塾」

■と、いうものに行ってきました、土曜日に。

明和電機の面白さは、既存のアートの枠からはみでた「美術的なおもしろさ」と、アートをプロダクトやコンテンツに落とし込んでいく「ビジネスのおもしろさ」があります。「魁!ナンセンス経営塾」では、豪華ゲストをお迎えし、「アートの視点」「ビジネスの視点」をテーマに、21世紀の新しい感性ビジネスの可能性をさぐります。
新製品・新商品のナンセンス発表会も予定。内容盛り沢山のイベントです、ぜひ足をお運びください。


明和電機 魁!ナンセンス経営塾
●とき:9月12日(土) 19:00〜21:30(予定)
●場所:ヨシモト∞ホール
●出演:

http://www.maywadenki.com/info/090714-5.html

■面白かったんだけど、長い… 二時間半以上あったかしら。会場の椅子が座りづらくて疲れ倍増。終わった頃にはぐったり。
第1部は明和電機の「事業報告会」、その後第2部・第3部とそれぞれトークショーといった構成だったんだけど、事業報告会なら事業報告会、トークショーならトークショーで分けるか、あるいはトークを社長対2人ではなくて、社長対1人にするかあるいは一組だけにするか、といったようにコンパクトにして欲しかったなあ。トークもすごい興味深い話ばかりだったのに時間が押しててなんか消化不良。それぞれの話をもっと聴きたかったよう。

■いろいろ印象深い話や言葉はあったんだけど、中でも東京都現代美術館学芸員森山朋絵さんの、「ワビ、サビ、萌え」という言葉が何しろ印象深かったです。
たしか社長の「外国の方に“萌え”っていうのはわかるんですか?」みたいなニュアンスの質問に答えての言葉だったと思うけど。新・日本のスタンダード、なんですかね「萌え」っていうのは。
「萌え」っていう言葉は今更改めて言うまでもないけどサブカルチャーから生まれた言葉であり、それがどんどん市民権を獲得していろんな人がいろんな場面で普通に使用する言葉になりつつあることに、私自身はちょっとした違和感というか、安易さを感じてあまり馴染めなかったんだけど(自分でもしょっちゅう使ってはいますけど。確かに愛情や情熱の一形態を示すのに便利な言葉ではあるんで)、考えてみたら「ワビ・サビ」という言葉も茶の湯という新しい文化とそこから生まれた美意識を示す言葉であったことを思えば、現代日本サブカルから新たなキィワードとして「萌え」という言葉が生まれ受け入れられていく、というのは自然な流れなのかも知れません。「へうげもの」で古田織部が茶碗ひとつに抱く感情は、現代的に言えば確かに「茶碗に“萌え”ている」状態なんだと思うし。
なんてことを考えつつ。「国立メディア芸術総合センター(仮称)」の話も出たけど、これも今後の日本のメディアアートを考える上でもっともっと議論されるべきなんだろうなあ、ほんとうは。

■あとヤノベさんの話が面白い。内容もだけど、そのいかにも関西人的な、「一発笑いを取りに行く」話術も見事であるよこの人は。初めてトークショーヤノベケンジを見たときは、もっと訥々と話す印象の人だったけど、最近は非常に人を楽しませることを心得た人なんだと思うようになった。作品にしてもパフォーマンスにしても同じことだ。今回は、ドイツ人作家のアヒルモチーフの作品を、ラッキードラゴンで「北京ダックにしてやるわ!」と脅した(?)話とか、火も噴き水も噴くラッキードラゴンは「消火も放火もできる」なんて話しててもうだいすきだヤノベさん。
あと、「宇宙芸術」という分野の開拓について、実は作品制作のオファーがあったというヤノベさん、「そんなことよりいっそのこと俺を打ち上げろ」と言った話はまったくもってその通りだと思ったよ。作家が宇宙に行って何がしかしてこその宇宙芸術だし、ヤノベケンジは常にそういうスタイルで作品を作ってきた人だと思うし。ていうかそもそも「宇宙芸術」って何だ。