ロハ下ル『わるくち草原の見はり塔』

ロハ下ル『わるくち草原の見はり塔(男性ヴァージョン)』
2009.9.3〜9
青山円形劇場
脚本・演出・出演:山中隆次郎
出演:夏目慎也 / 數間優一 / 板倉チヒロ / 村上聡一 / 山縣太一 / 池田ヒロユキ / 佐々木光弘

http://www.lohakudaru.net/

7日ソワレ、男性ヴァージョンの方。










面白かったんだけど、あともう一歩モノタリズ。
なんでだろう…と思ってたんだけど、おそらくこの物足りない感は、円形劇場という開放的な劇場と、スロウライダー時代の『トカゲを釣る』と構図が似てるというあたりから来てるのではないかと。

今回はスロウライダー初期作品の再演とのことだったんだけど、閉じられた異常なシチュエーションだとか恐怖の対象の姿が見えないことだとか黒幕の思惑が分からないままに皆が踊らされている感じだとか仲間内に厳然たる・そして不条理なヒエラルキーが存在することだとか、『トカゲを釣る』に作品の雰囲気が似ていて、つまりかなり私の好きなタイプの作品ではあったんだけど、既視感の方が先に立ってしまった。その上、『トカゲを釣る』ほどピリピリとした緊張感が感じられなかった。この緊張感が高まらなかった原因はおそらく円形劇場で、円形の利点を活かしたうまい演出してるとは思ったんだけど(カンケリで走り回ったり、話の中心になるエリアの外にも役者がいて、なにがしかしてるけど暗くてよく見えない、とか)、全方向に開けすぎてて、この作品を面白くする重要な要素である「どこにも行けない閉塞感」「恐怖」が散漫になってしまった感。女が巣穴に潜っていったり男を引きずりこんだりするシーンも、おそらく狙いほどには恐怖感は出せていなかった。今は亡きシアタートップスあたりで観たらもっと面白かったかも。
というわけで約二時間という上演時間はやや長く感じられて疲れてしまったんだけど、だからと言ってどこかしら削ってもっと短くした方がいいか、というと…そういうんでもない気がする。うーん。

女性ヴァージョンはけっこう内容に違いが出るんじゃなかろうか。今回観に行けなかったんだけど、観たかったな。