親族代表『渋々』

親族代表 THE LIVE『渋々』
東京公演
2009.12.12(土)~20(日)@新宿シアターモリエール
大阪公演
2009.12.22(火)、23(水・祝)@HEP HALL
脚本・演出:福原充則 (ピチチ5)
脚本提供:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(ナイロン100℃)/ブルースカイ/池田鉄洋猫のホテル/表現・さわやか)/川尻恵太(SUGAR BOY)
出演:嶋村太一竹井亮介野間口徹
http://shinzoku.cool.ne.jp/

初日と、4日目の火曜に観てきました。まだ観に行くけどひとまず簡単にメモ。面白かったよう。今回の公演、かなり好きです。










前説の「携帯の電源切りましょうミニコント」は前回に引き続き今回も竹井さんがピンで。まさかのナウシカネタ。無駄に立派なウレタン製王蟲がすげえ。(今回の公演でいちばん金かかっていたらしい)(そしてでかすぎて大阪に運べないとも言ってた) 竹井さんて確実に笑い取ってくことができる人だなー。なんかもう佇まいだけで面白いもんね。
そして「かなりかっちょいいです。オープニングが一番良かったって言われないようにしたい。」なんて野間口さんがひきこもに書いたりしてたOP映像。確かにかっちょいい。かっちょいいんだけど、「何路線…?」と静かにツッコミたくなるような、シャレオツを狙いましたがなんか残念な結果に、みたいな雰囲気がたいへん親族代表らしくて面白かったです。あ、オモシロは狙ってないのか今回…?(←失礼) 二回目に観たときに気付きましたが、作家名が紹介されるときに映像でちゃんと作品のヒントが示されてるんですね。(福原:ギター、ケラ:コーヒー、ブルースカイ:仏壇、川尻:トカゲ。イケテツのは…あれはコン…ですかね…?) 野間口さんと抱き合ってる金髪女はだれだ。ていうかあれ、女性じゃないよね…?(女性だったらちょう失礼)(ごめんなさい)*1
あと、リーダーが若ぶった髪型に変えたせいか、ちょっとイイ男になっててなんかむかつく。(むかつき萌へ)(相変わらず顔ちっさくて足なげーなリーダー)


1.「キャンプ」 川尻恵太
川尻さんのネタは、前回も思ったんだけどやっぱり鉄板。クセがなくてわりとみんなに受け入れられやすい、笑いやすいコントを書く人、という印象。オチもはっきりしてるし。今回も面白かったんだけど、やや大人しい…というか、親族のネタとしてはちょっと物足りない感じがしてしまう。
「10年」をキーワードにした、10周年記念ライブのOPに相応しい作品。こういうところをきちんと押さえられるあたりも鉄板ですね。


2.「息子」 ブルースカイ
「変態」というキーワードが出てきた時点でブルースカイだなとわかる、いつものブルースカイ節な不謹慎ネタ。今回ややインパクトが弱いか。いや、インパクトはあるんだけど。ブルースカイ節にこっちがすっかり馴れてしまったというか。(それもどうなんだ)


3.「Kusakari」 川尻恵太
これは初めて観たとき、作家が誰だかさっぱりわからなかった。モノマネネタを書くような作家今回いるかなあ、と思って最初リーダーが書いたのかと思った。イケテツやケラが野間口さんと竹井さんを中学一年生に設定するコント書くとは思えないしなー、とか、無駄にいろいろ推理を働かせてしまいました。
野間口・竹井両人の中学生演技が鬱陶しくてマル。


4.「だから」 川尻恵太
観ながら「小林賢太郎ぽい雰囲気のネタだな」と思ってた。「スタディ」の万引き犯を思い出して。そしたら川尻さんのネタだったのであーなるほど、と。川尻さん3本も書いてたのか。なんていうか、上品な小品、といった趣のコント。野間口さんのトカゲカワユス。自在だなー。


5.「喫茶店」 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
これはケラしかありえない、観客をカオスに叩き込む完全な不条理ネタ。ちょっと『暗い冒険』を思い出すようなめちゃくちゃぶり。ぜんぜんスジ通ってないし、これ脚本渡された演出家と役者3人、作品練り上げるの大変だったんじゃないかなー。ケラ作品て観ながらニヤニヤしちゃう。


6.「少子化さん」 池田鉄洋
明転して「少子化対策課」の札が見えた瞬間に「これイケテツのネタかも」と思った私ゴイス。面白かったなー、やっぱりイケテツの脚本好きだわ。
「これさわやかでやるとしたらどんなキャスティングになるだろ」と想像する楽しみがありましたが*2、だからといって親族が演じたことが不満とかそういうわけではもちろんまったくなくて、イケテツらしい脚本を親族らしい見せ方で面白く仕上げたなーという印象。ユニットのカラーっていうのは如実に出ますねやっぱり。
「童貞ですか?」と質問されて慌てるとことかサイレン鳴らされて泣くとことか「小渕さんかぁ…」っていうちっさい呟きとか、野間口さんの細かい演技がちょう楽しい。
それにしてもイケテツは「○○さん」というタイトル好きだね…


7.「We Are The World」 福原充則
『渋々』中、私のお気に入りナンバーワンはこれでした。福原さん「女子サイド」作品。すっごく面白かったし笑ったし、そして切なくてちょっと泣いた。フォークソング浪花節
駄目なバンドマンと駄目なピンサロ嬢、母と娘、夫と妻、老人と若者。たった3人で演じるそれぞれの関係性があんなに短い時間の中で鮮やかに交差して、福原さんはほんとにこういう作品が上手い*3し親族の3人もそれぞれを演じ分けて見事。3人とも良かったんだけどやっぱり野間口さんが抜群に良くて、退廃的でそれでいて一途なピンサロ嬢の佇まいも、草野球好きなおじいちゃんのホームランを打たれた後のなんとも言えない表情も、ほんと切なくてきゅんきゅんした。メイクも衣装も変えることなしに、女と老人を一瞬で演じ分ける、その瞬間を見てるだけでわくわくする。外見は「野間口徹」から何も変わってないのに、女を演じてぜんぜん違和感ないんだもんな。やっぱりすごい。へんな方言で語り合う母と娘もかわいくて、ちょっとしみじみと泣けるほど良かったなあ。また大好きな福原作品がひとつ増えた。


8.「キャンプ(Reprise)」 福原充則
「10年」をキーワードにしたOPコントと、それをパロディした「3人」をキーワードにしたEDコント。美しい幕切れだ。くっだらなくて楽しかったです。

*1:追記:19日の昼公演カーテンコールにて金髪さんの正体判明。女優の森谷ふみさんですて。わーごめんなさい。しかしあの映像でちゃんと女優を起用してたってことはオモシロは特に狙ってなかったってことかしら。

*2:ちなみに、野間口=岩本、嶋村=菅原、竹井=明賢、てあたりでいかがでしょう。

*3:『脱線01』のときの「大船姉妹」も、あんなに短いコントなのに姉妹の歴史がしっかり見える構成の上手さに唸りましたが