生きる技術は名作に学べ

生きる技術は名作に学べ (ソフトバンク新書)

生きる技術は名作に学べ (ソフトバンク新書)

こういう人生指南書みたいなタイトルの本はいつもだったらそれだけで敬遠しちゃうんですが、「空中キャンプ」*1の伊藤聡さんが書いてるとなればやっぱ読んでみよっかなーとなります。面白かった! おそらく非常に読みやすい文章を目指して書かれているんだと思いますが、ともすればややこしく重くなりそうなテーマを、実に平易な文章(ブログ文体というか)で、ユーモアも盛り込みつつ書かれていて、さくさくっと読める。それぞれの作品について、ひとつのテーマに基づいて読み解いていくという構成も、ありがちな書評や解説といったものよりももっと「読み物」としての面白味があってとっつきやすい。とっつきやすいからといって内容はぜんぜん薄くない。わかりやすい文章を書くっていうのは、こ難しい文章を書くよりもだいぶん難しい。紹介されてた名作の中には読んだことのあるものも何冊かあったんだけど、私の記憶の中でなんだか難しい顔をしている主人公たちも、この本にかかるとそこいらにいる現代に生きる人々となんら変わらない。
あ、人生指南書みたいなタイトルですが、そういう内容じゃないです。あくまでも名作を自由に読み解く、というのが中心にあって、そこから人間の営みの普遍的な部分が見えてくる、という感じで。コレを実践すればうまくいく! というアレではない。
ところで、本文中に「日々の暮らしはあなどりがたく、実に手ごわい」という一文があったんだけど、ほんとまったくですね…と、やたら共感してしまいました。