『電信柱エレミの恋』

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文化庁メディア芸術祭・優秀賞、毎日映画コンクール・大藤信郎賞W受賞の短編映画。
最後泣いちゃってアイラインがにじんでしまったよ… 人間に恋した電信柱エレミのお話。
下北沢トリウッドで5/16までやってるので大オススメします。あと、観たならパンフレットは絶対に買った方がいいです。










クレイアニメってだけで愛おしさのあまりきゅんきゅんしちゃって大変だったのに、優しくて切なくて、そしてちょっと残酷でもあるラストはもう覚悟して泣くしかない。エレミに「電信柱であること」を諭す長老電信柱が、最後タカハシがエレミを探しに来ると「電信柱であること」に背いて奇跡を起こす(そしてパンフレットによれば、この「奇跡」である停電の翌日、停電の原因となった長老電信柱は撤去されてしまうそうだ。号泣!)なんて、なんとスケールの大きな、そしてささやかなラストであろうか。わーん! そしてもう話すことのできないエレミに手を触れた後、それに寄りそうようにもたれかかるタカハシがさびさびと哀しい。別れである事実に変わりはない。でもタカハシはこれから毎日、出勤するときに遠回りしてでもこの道を通って、エレミを見上げるのかも知れない。*1
キャラクターひとりひとりが丁寧で愛らしくて美しい。一瞬しか出てこない町の人々にもちゃんと名前があり歴史がある。そしてこの夢のようなファンタジーにあって、エレミがタカハシに贈り物をしたいばかりに「架空の口座を開設し株の売買で資金を作り通販で買い物をし、しかる後にすべてを元の状態に戻す」という、えらい現実的で手の込んだリアルさが潜んでいるあたりが面白い。
たくさんの人に観て欲しいなあと思わせる良作でした。今日また観に行く。(そしてたぶんまた泣く)

*1:ところでこのタカハシのモデルは明和電機社長土佐信道だとのこと。びっくりするくらい似てます。地味な一人暮らしのアパートで地味にプラモデル作って地味にカメに餌をやる、そしてエレミとの会話の内容までがめちゃくちゃ地味であるという点に至るまで、そんなささやかな日常があの風貌に似合いすぎる。