映画いろいろ

最近、映画ばっかり観てます。公開中のものや名画座でやってた古い映画やDVDや。軽くいくつか感想など。ややネタバレしてる点もあるので読みたくない場合は薄目でおねがいします。


母なる証明
韓国映画って、他のアジア映画と比べて非常に直接的で野生的な印象を私は持ってるんですが(もちろん悪い印象ではない)、その印象そのままの作品て感じでした。最後まで引き込まれた。サスペンスで最後の最後に「ええっ」となった点で言えば、私の映画鑑賞史上最高だったかも知れません。(「ええっ!!」よりも「ええ〜っ…」に近いニュアンスですが) キム・ヘジャのかあちゃん凄すぎる。


ソナチネ
「世界的に評価が高いのもよくわかるし面白いのもわかるんだけど、苦手」というのが私にとっての北野作品だったんだけど、これ観てその苦手意識が一掃されました。集中的に北野作品を観たことが一時期あって、そのときこの『ソナチネ』も観てる筈なんだけどさっぱり内容覚えてなくて、内容覚えてないってことは当時はまったく興味深い印象を覚えなかった作品なんだろうと思う。北野作品の良さがわかるようになったんだな、私…と思うと感慨ぶかいです。『アウトレイジ』観に行こう。
この作品の画面は、時にまったく現実的じゃない。暴力や殺人や死体や、あるいは自分の身の危険を目前にして、じっと静止していたりする。誰も何も言わないし、感情が表に見えてこない。その静謐と暴力、これが、日本的な言い方をすれば、この作品のワビサビ。香港ノワールに美しき様式美があるように、北野作品にも北野作品独特の様式美がある。


■アイアンマン
アイアンマン2』を観に行くことになりそうだったので予習しとかなきゃ、というわけでTSUTAYAりました。ロバート・ダウニーJr.を見るといつも、その黒目の大きさと下睫の長さに目が行っちゃう。
アメリカのスーパーヒーローもの(超人的な能力を持った主人公が世界や人類を守るために邪悪な敵と戦うというもの…というのが私の解釈ですが合ってますかね?)は、今思い出しても、ごく幼い頃に『スーパーマン』をテレビ放映してたときに観た記憶がうっすらあるくらいで私の映画鑑賞ストライクゾーンにはまったく入っていないジャンル。なので、面白かったというよりも(いや、面白かったんですけども)、いろいろ「おお、なるほどな…」と感心することが多くて興味深い思い。
とにかく「お手本のような」構成にまず感心(なんて明快な勧善懲悪、なんて美しい起承転結!)。よって、この作品に個性や新味があるとすれば主人公のキャラクター設定だと思う。ヒーローにはタフな反面、お茶目で親しみやすい一面があったりするものですが、トニー・スタークという男は、鑑賞者に「ドジっ子萌え」を覚えさせるくらいそのキャラづけが徹底してる。って、これはまあ、女性鑑賞者に限った意見だと思うけども。男性はやっぱりアイアンスーツとそれを開発したスタークの天才っぷりに「カッコイイ!」ってなるのかしら。女性目線で言えば、「守ってもらいたい!」とオトメの瞳をハート型にするよりも、母性本能をくすぐるバカ息子っぽさ、もっといえば「守ってあげたい!」欲を存分に刺激するキャラクターを全面に押し出してる感じ。それについて非常に象徴的だなと思ったのが、ヒロインが有能で世話焼きで、優しくもあり厳しくもある「秘書」というポジションにいる女性である点。「秘書」の目線はスタークを見守り導く「母」の目線でもある。
トニー・スタークが完全に俗物で、突発的な危機に対して英雄的に対処できる男ではないことを強烈に印象付ける、テロリストに襲われる冒頭シーンは、その後展開する物語の導入としてはまったく上手いなと感心しました。今回の物語では密接に力を合わせて事にあたることはなかったものの、とても仲の良い、彼のことを考えてくれる友人の存在がしっかり示されていることも印象深い。
あと、アイアンスーツはべつに欲しくないけど、不器用くんは欲しいです。


■告白
耳に入る評判で悪評がなかったので期待して観に行きましたが、その期待は裏切られませんでした。面白かったなあ。
この作品を安易に「面白い」のヒトコトで片づけてしまうのは危険だと思うんだけど、森口が口にする「命の重さ」は結局復讐の隠れ蓑でしかなく、この物語は、娘を殺された母が殺人者に復讐する様を追ったサスペンスという、100%エンターテイメントな作品である、というのが私の印象。もちろん、そこに「命」というテーマが深みを与えていますが、決して啓蒙的な作品ではないし、作り手側の意識もその方向には向いていないだろうと思う。
あとは映像と音楽がめちゃくちゃかっこよかった。このあたりにも豊かなエンターテイメント性を感じます。