美の巨人たち・鴨居玲

で、二次会まで参加して帰ってきたらジャスト始まるところだったので服も着替えずリアルタイムで見ましたテレビ東京の「美の巨人たち」。本日のテーマは鴨居玲だったのさ。
鴨居玲という画家の中にある「2人の自分」に焦点を絞った、なかなかに内容の濃い30分。教会シリーズなど触れられなかった作品もあり、紹介の仕方が一面的かなあという気がしないでもなかったけど、30分しかないですからねえ。あれ以上の内容詰め込んだらまとまらない番組になっちゃってたかもしれんので丁度良かったかも。それにしても「1982年 私」に描かれた真っ白なキャンバスが希望を示すのではないかという解釈はちょっとおおうとなった。考えもしなかったそんなこと。「希望」なんて言葉が出てくるとは思ってなかったから、うっかり涙しそうになるくらい嬉しかった。
嬉しかったといえば、写真がたくさん見られたのも嬉しかった。そういやこの人たしか写真集が出てる筈…と思い出した(写真集のタイトルはわからない)。ずいぶん前に買おうとして、絶版になってて手に入らなかったんじゃなかったっけ、たしか。今あまぞんさん見てもそれらしい書物はないなあ。なんか凄い写真ばかりでぞくぞくした。鬼気迫るというか。そんな姿を撮り続けるのもまた精神のカロリー減らしそうな作業だ。
そしてやっぱり力強い作品たち。改めて、自分と闘い続けた人なんだろうなと思った。明和電機の社長が、以前インタビューで「絵は浮かんだイメージをそのまま出せるんですよね。情念のままにうえ〜っと吐く感覚で。描く度に、自分の反吐を見ているようでした」と言っていた*1のだけど、社長はその反吐を美しく楽しい作品に転換する術を身につけ、鴨居玲はその反吐から目を逸らさず描き続けた人だった、と言えるかもしれない。前者後者、どちらにしても壮絶な創作のカタチだ。芸術家ってタフだなあ。
この「美の巨人たち」という番組は、以前は欠かさず見てたんだけど、ちょっとリリカル過ぎるのが鼻につきはじめたのと「あれ、これって間違ってるんじゃない?」ということが二度くらいあったのとでなんとなく見なくなってしまった。久々に見たわけだけど変わらないスタイルでずっとやってたんだね。やっぱり面白いなこの番組。