お台場SHOW-GEKI城・ピチチ5『魚じゃないとやってられないよ』

お台場SHOW-GEKI城・ピチチ5『魚じゃないとやってられないよ』
2006.12.23.(土)〜12.27(水)
お台場フジテレビ内 マルチシアター
脚本・演出:福原充則
出演:植田裕一(蜜)/碓井清喜/オマンキー・ジェット・シティーゴキブリコンビナート)/三浦竜一/三土幸敏(くねくねし)/山下純(こどもとあそぶ)/吉見匡雄
GUEST:小町桃子
http://www.g-up.info/odaiba/

23日の初日と、27日の昼公演。感想っつうか何つうか。ダラ書き。
福原さんおよびピチチメンバーの皆様、おつかれさまです。
正直いってこれ以外に言葉ない。
最初このイベント知ったときには非常に魅力的な企画に思えましたが「ん、グラビアアイドルと共演? なにそれ??」とか「あ、やっぱテレビ局主導のイベントなのねえふーん」とかいうあたりが見えてきてからは期待よりも俄然不安の方が大きくなっちゃってましたが、私が思っていたほどは酷いことにはなってなかったです。ってそれこそ酷い感想だなオイ。もっともっとつまんなくなっちゃってるんじゃないかと思ってた。
っていうのは23日に観た時点での感想で、27日に見たらさらに規制かかっちゃってて変更されてたセリフがいくつか。さすがにむううと唸ってしまった。劇場前には「過激な表現がありますのでお子さま連れの方は云々」という注意書きが張り出してあるし、ちょっと「バカじゃないの」って思ったフジテレビ。(あ、言っちゃった)
まー、もともと小劇場劇団×グラビアアイドルという組み合わせに一体何の相乗効果を期待してるんだか、主催者側の意図が私にはさっぱりわかんなかったんですけどね…
マルチシアターも演劇やるにはほんと不向きなハコで(仕方ないけどさ、もともと映像劇場なんでしょココ。もっとマシなハコ用意する気はなかったのかフジテレビ。)暗転甘いし複数の劇団が時間区切りでハコ使いまわすからセットらしいセットも組めないし(たぶん。ピチチ観た印象だと。他の劇団がどう使ってたか知りませんケド)、時間もみちみちなので終演後アンケート書く間もなく追い出されるし追い出されたところでゆっくりアンケート書くスペースもないし挙句にアンケート回収員もいないし回収ボックスも設置されてないしほんと「何がやりてえんだよ」と不満に思うこと多数。劇団側にも相当不満はあったろうなあと思う。もうこのイベントそのものがハンパ。(あ、言っちゃった)
「これで初めてピチチ観た人が、こんなもんだと思うのはものすごくシャクだな」と思いましたが、それでも笑いは取ってた印象。後ろからキャッキャという笑い声がよくしてたけど、あれは小町桃子の事務所の後輩とか同僚とか、なんかそーゆー関係の子たちなんですかね。よく見なかったけど。何より明らかに小町桃子目当てと思える男性からでっかい笑い声が聞こえてきたのに「してやったり」と思う。そんなこと思う理由は私にはないんですが。まあそういう、劇団目当てじゃない方面からもウケてたってことでこの企画にもそれなりの価値あったのかなとちょっとは思う。その彼らがピチチの次回公演観に来るとは思えないけど。そして劇団目当てに行った私が小町桃子やグラビアアイドルに今後興味を持つことは絶対ないけど。
『魚じゃないとやってられないよ』は、ピチチ過去公演からの再演。以下3作品。
■開拓者たち
『はてしないものがたり』からの一本。思えば初めて観た福原作品。高木珠里演じる「石北ちゃん」がものすごいインパクトだったのでそのギャップがどうにもこうにも。リアル北島マヤ高木さんと比べられては小町桃子も気の毒かもしれないけれど、観客にとってはそんなこと関係ない。舞台に上がれば同じ役者、面白いか面白くないかの二つに一つ。「セリフ覚えただけで稽古期間終わっちゃいました〜」な感じで演技も何もあったもんじゃなくて(声キンキンでセリフ聞き取れないし。最悪)観ててほんといたたまれませんでした。
「淫売!」とか「セックス」とかが全部違う単語に置き換えられてたし「贅沢オナニー」も石北ちゃんの「一生わたしでオナニーしてね!」もなかったし、ピチチらしい表現がすべて封印されてましたがこれがもう。下ネタばかりがピチチじゃないけど、それにより醸し出されるどうしょうもない男の哀愁がピチチの面白さであり持ち味なんだけど。下ネタ抑えさせるくらいなら小劇場のイベントなんかやんなきゃいいのにとマジで思う。たしか本公演で「セックス」と言ってたものが全部「キス」「チュウ」なんかに置き換えられてましたが、ピチチ作品でそういう単語って耳慣れないもんで逆に恥ずかしい。「世界は男と玄人女性でできている」が「世界は男とフジテレビがあればいい」になっていて涙。劇中何回以上フジテレビ関係のセリフを入れること、とか、そーゆー決められ事があったんですかね。
引き戸(福原作品によく登場)もないんで、石北ちゃんが「(私が好きなのは)上村さんです!!」と叫んで奥の引き戸が開き、上村役の三土さんが「えっ、オレ??」と出てくるシーンもなかった。ちょう好きだったのにあのシーン。
でも、ま、懐かしいこのネタが観られてよかったです。懐かしいだけに「本公演のときはあれだけ大笑いしたのになあ」という寂しさも。
■ボンネット
たぶんタイトルこれで合ってると思うんですが…第2回公演『大クラシック』より。これは面白かったなあ。しかしピチチサイトを見ると、本公演はきっとこれの何倍も面白かったんだろうなあと思わせる。自動車のセールスマン3人と横暴な部長とのやり取り、ぎちぎちとした閉塞感と情けなさに溢れていて、でも笑っちゃう滑稽さ。後ろ向きにひねくれている吉見さん演じるキャラ、ひねくれて後ろ向きな三浦さん演じるキャラ、後ろ向きどころか俯いちゃっててひねくれるどころか卑屈になっちゃってる山下さん演じるキャラ、社員を奴隷のように扱う三土さん演じる部長。お互いに感じているささやかな優越感とエゴイズム、同時に劣等感。面白い。
やっぱ三浦さんの演技、好きだなあ。
■隻腕くん
中二男子的下単語連発のこのネタやっただけでピチチエライと思った。ちょっとびっくり。しかしながらいろいろ改訂されてました、表現が。男性器を「トム・クルーズ」はまあご愛嬌としても、27日に見たら「しごく」というのが「遊ぶ」になってて、やっぱ規制されちゃったんだなーと。「トム・クルーズと遊ぶ」じゃ何のことだかわかんないじゃん。「オナニー」って単語はさんざん出てくるのにさ。最後にガ○ャピンとム○クのパロディの被り物が出てきたときの役者たちの暴れようが…半ばヤケ?…
このネタは本公演で観たとき「哲学的」と感じたんですが(なーんて言ったら福原さんたぶん笑うでしょうが)規制がかかったせいで半端な印象。あそこまでガンガン下単語連発して突き抜けちゃった感じが好きなネタだったのにほんと残念。
植田さんが放り投げた毛を被りました客席で。


福原日記や役者ブログを読むたびに福原さん及びメンバーの苦労と苦悩がほの見えてましたが、や、ほんと「お疲れ様でした!」って言いたい。規制されることが多い中で観客をしっかり笑わせてたんだからすごいと思いますよ。春の公演では存分に本領発揮してください。祈。