KAKUTA『甘い丘』

結局、3回観ました。悔い無し!
2、3回目に観た感想を簡単に。

  • 初回観たときに「いまいち」と感じた箇所が、ほぼすべて気にならなくなっていた。がちゃがちゃしてなんとなく浮いた印象だったシーンにもすんなり入っていけた。テンポがこなれて、芝居が板についてきた、ってことなんでしょうか。
  • 最初に観たときよりも全体的に切なさが増してた気がします。何度も泣きそうになる。
  • 伏線もきれいに生きてるし、やっぱり構成が丁寧。
  • トンビの診断書を見てしまったシュロが、つっぷしたまま(っていうかトンビに飛び蹴り見舞われて倒れこんだまま)動かなくて、そのあと2人抱き合ってトンビが「泣くなよブス」って言うところが…すごい切ない。このシーン観て、ああやっぱり村上さんてうまいんだなあと思った。
  • トンビとシュロのベランダのシーンはしつこく言うけどほんと好きだ。村上さんの表情がちょっと寂しげで苦しげですごくいい。瞳がつぶら
  • シュロが可愛い。可愛いよー。「これって、愛されてるのかなー? 幸せでふわーん」とか。ふつうに芋羊羹食ってるだけでもう可愛いし。抱きしめたい。
  • かの子とイタさんが夢のような靴の話をするシーン、わりと内容はクサいので下手するとイタイシーンにもなりかねないような気がしますが、適度にテロティックで、かの子のギリギリな気持ち、痛みが伝わってきてすごく素敵なシーン。
  • つーか冬のシーンは盛りだくさんでどれもこれも好きです。はじめの方の茜たちのやり取りとかも可愛くていいし、パパと桂が温泉に逃避行しちゃうクダリも好き。
  • ラストシーンからカーテンコールに至るまでもすごく好きなんですよね、このお芝居。「トンビがいないここには居たくない」というシュロがこの先ちゃんと生きていけるのか、イタさんを頼りに戻ってきてしまったかの子がここでこの先どうなるのか、先行きは不透明なんだけど、とりあえず今を生きている力強さ。みんなそれぞれの居場所に落ち着いて、かの子を見守るようなラストシーン。
  • サワくん大丈夫!? キャラ変わってない??? と心配になったとこが一箇所。面白れえな若狭さん。1回目に観たときからあんなだったっけ?(俳句教室のシーン。)
  • 27日公演、トンビが血を吐くシーンで血糊袋が村上さんの手から転げて舞台の上に転々と。ここで血を吐かなきゃどうにもならないシーンでうわあどうなっちゃうの、とハラハラしてたらちゃんと予備持ってるもんなんですね、ああいうのって。あーびっくりした。
  • 弱さも強さも、美しさも醜さも、ぜんぶひっくるめて「女」であることの物語。声高に主張するのではなく、あくまでも等身大。だからこんなに胸に痛いのか。ピチチ5の芝居を観て男が感じるのと同じような感覚を、この芝居から女は受けるのかも知れない。
  • 前回感想書いたとき、「秋がない」って書いたけど間違いだった。ちゃんと秋あった。しかもものすごくわかりやすい形でしっかりと。何見てたんだ私。