ピチチ5『反撃バップ!!(改造)』

若手演出家コンクール2006・ピチチ5『反撃バップ!!(改造)』
2007.2.27・3.3
下北沢「劇」小劇場
作・演出:福原充則
出演:植田裕一(蜜)/碓井清喜/オマンキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(ゴキブリコンビナート)/小山涼/野間口徹(親族代表)/三浦竜一/三土幸敏(くねくねし)/山下純(こどもとあそぶ)/吉見匡雄/鯉沼トキ
http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html
http://www.k2.dion.ne.jp/~jda/wakate_top.html

やーもう、すっげえ笑いました。やっぱりピチチは凄い。上演条件がかなり制約されている(仕込み2時間・上演1時間・バラし1時間)中でも、ピチチらしさ(福原充則らしさ)が充分活かされた公演だったように思います。コンクールにかける舞台としては、けっこう理想に近いところまで持っていけたんじゃないかなーとか勝手に想像してますが。もちろん舞台に立ってる役者さんや演出家本人には、「まだまだ」という思いがあるんでしょうけど。
以下、ネタバレはしてませんがいちおう畳みます。










大胆で工夫の凝らされた仕掛けもスピーディーな展開も面白かったし、セリフの妙は相変わらずでいちいち笑ったりきゅんとなったりイタタと思ったり、そしてこれはアフタートークで、ある審査員の方も言ってたんですが、やっぱりホンが抜群に面白い。
「話がわかりやすすぎる・裏がないから深みがない・深いところまで観客に想像させるのが舞台というもの」というようなことをコメントした審査員もいたんだけど、「分かりやすい話を」というのは福原さん自身がコメントしてたように福原作品の特徴のひとつなんだから、別にマイナスポイントにはならないと、私は思いますが。福原さんの作る芝居は、裏がなくてもイコールで深みがないなんてことはぜんぜんない。壮大なくだらなさ、舞台でしか表現できないものを作ってると、シロウト考えながら思うんですけど。逆に、裏を考えさせたり表に見えてない深いところを考えさせたり、そういうホンならどっちかというと映像向きなんじゃないかしらん。舞台観てて、ストーリーを必死に追ったり「これはどういうこと?」などと考えたり、そういうのは私は疲れちゃうけど、どうなんですかね。ストーリーを五感で感じて、脊髄反射的に笑うなり泣くなりのリアクションを返す、っていうのが舞台でしょ? などとも思ったりするし。まあ人の感じ方ってほんとそれぞれですね。(逃)
アフタートークで5人の審査員のコメント聞いたかぎりでは、否定的なコメントしたのはその方だけで、あとの方はなかなか興味深くご覧になってたみたいです。「すっごく面白かった!」というコメントした方もいたし。仕掛けが三土さんに当たって、彼のトレードマークの黒縁メガネがクラッシュするという事故もありましたが、全体的には充分合格点の公演ではなかったかと。
あと一公演。チケットの予約状況はどんな感じなんですかね? 今日は座布団席も出る盛況っぷりでしたが。まだチケット予約してない、って方は是非予約なさって、ご覧になって! 充分な自信をもって人にオススメできる、相変わらずレベルの高い舞台でしたよ、ピチチ。