『憂の喜劇07〜パニッシュ夫人』

『憂の喜劇07〜パニッシュ夫人』
2007.3.22〜3.25
アイピット目白
脚本:故林広志
演出:福原充則
出演:大久保佳代子オアシズ、明日図鑑)/宮地大介/オレンヂ(フラミンゴ)/三浦竜一(ピチチ5)/森谷ふみ/尾関高文THE GEESE)/高佐一慈THE GEESE)/鶴巻尚子/中津川朋広(勇者の森)/吉橋航也(勇者の森)
http://odakhyper.cool.ne.jp/daikorin/conte_5/conte_5_3.html

24日、昼公演。
演出が脚本を消化しきれてなかったのかなあ、という感じでした。実際どうだったのか分かりませんが、少なくとも私が受けた印象では。テンポよく話が転がっていくところはすごく面白かったのに、じっくり攻める箇所が攻めきれてないような感じで、全体的にちょっとちぐはぐ。客入れや場転のときの音楽のチョイスや、ミラーボール使うあたりは福原さんのセンスが前面に出ててほくそ笑んだりしてましたが、いつもびっくりするような思いがけない仕掛けを仕掛けてくるのに、そういうアソビが今回なくて、ちょっと物足りなく感じたり。息子を虐待しているのではないかと悩む母親と女子児童を偏愛する問題教師のやり取りが行われる小学校の職員室風景、スキャンダル誌の編集部で起こるドタバタ、二つの物語が同時並行で語られるストーリーも面白いと思えず、もうひとつ芝居に乗り切れないまま。中盤過ぎて後半、ストーリーのまとめに入るあたりから急にテンション下がってしまった感じ。故林作品は今まで長編短編あわせていくつか観てきたけど、わりとパターンが見えやすい脚本というか… 初めて観たときの「わあ面白い!」という感じがどんどん薄れてきてしまっているなあ。目新しさを追うつもりはないけど。
でも今回は細かいコネタではかなり笑わせてもらいました。キャストもそれぞれ良かったです。特に大久保佳代子が最高。普通に見えてエキセントリックな役やらせたら右に出る者いないんじゃないか、って思うほど。追い詰められた人間のテンパリ具合とか、いそうだもんねえこういう人。GEESEも面白かった。以前観たとき(ってもう1年近く前の話だけど)、「面白いけど荒削りだな」と感じて、その荒削り感は今回も同じだったんだけど、「荒削りだけど面白いな」というふうに感想が変化しました、私の中で。今回特にオジェックがどツボ。あのもっさーとしたキャラクターは貴重。そのままでいてください。次回の単独、行きたいなあ。
オレンヂきゅん、やっぱりめっちゃ巧いのな! 登場したときの場の引き締まり感が違う。相変わらず可愛らしいし言うことない。あと、中津川さんが。見るたびどんどん美味しい役者になっていきますねこの方。あの風貌なんで不幸キャラが定番になっちゃってますが、もうそれ一本で極めればいいじゃない、っていうくらい巧いのな、そういうキャラ演じるのが。今回もスキャンダル誌に不幸の男として話題を提供し続ける男、というキャラが冴えてました。ほんと、いい表情するんだよねえこの人。
消化不良感は残りますがけっこう笑ったし、楽しんだ公演と言える、か、な。