猫のホテル『苦労人』

猫のホテル本公演『苦労人』
2007.4.18(水)〜4.29(日)
シアタートラム
作・演出:千葉雅子
出演:中村まこと/森田ガンツ/市川しんペー/佐藤真弓/池田鉄洋/村上航/いけだしん/岩本靖輝/菅原永二/千葉雅子
http://www.nekohote.com/next_top.html

21日の昼公演観てまいりました。『ウソツキー』『電界』に続いて3回目の猫ホテ。










この日は表現・さわやかでさわやかメンバーにハマった会社の同僚も誘っての観劇になりました。終演後、「すっごく面白かった」と同時に「話が難しかった」という感想を漏らした彼女に、即座に「話が難しいんじゃない、構成が上手くないんだよ」と答えてしまった自分。後になってなんだかわかったよーなことをフイてしまったなあと若干気恥ずかしくなりましたが、確かにストーリーの組み立て方が相変わらず滅茶苦茶で正直ほんとに分かりづらかった。話自体はすこぶる単純だったと思う。見せ方がすっきりしてないから追いきれないだけ。そんな感想です。
今回、「苦労人のDNAを持った山城家」の八代の血筋を、男性劇団員8人がそれぞれ一代ずつ演じる、という「全員主演」で、それだけでも面倒くさい芝居なのに一話一話(つまり一代一代)のエピソードが散漫というか、「何が話題になってるのか」がいまいち分かりづらい感じで、途中「ああ、このシーンべつにどうでもいいや…」的気分になっちゃって集中力途切れることしばしば。
それでもやっぱり今まで観た猫ホテの中では最も面白かったし、コネタはほんとに笑わせてもらった。役者がみんな個性的で巧いから見所みごたえは充分あったし(みんなそれぞれ多彩なキャラクターを見事に演じわけてることといったらすごい)。満足です。ただ、「苦労人」っていうより、単にトラブルを招く血筋…? と思える部分も多くて(「ああ、苦労してるんだなあ」と思えたのはまことさんと岩本さんの山城くらい? でも岩本さんの代はほぼしんぺーさんの死体踊り(?)で笑いを取ってたから苦労人ぽさは霞んでましたね)そのへんちょっとどうなのかなあと思ったり。相変わらず、千葉脚本のストーリー自体は好きです。泥臭くてバカな男たちの話は観ていてものすごくきゅうんとなる。毎回「いまいち」なのは、見せ方、の問題、なのかなあ。
今回は客演を招かず劇団員だけの公演、てことで、良くも悪くもその特徴が全面に出てたなあという感想。客演があればもうちょっとピリっとしたものがあったかな、という感じもするし、客演がなかったから自由でコントっぽい雰囲気が楽しかった公演でもあるかな、という感じで。
以下ダラ書き。

  • 今回は笑いのツボも萌えツボもほんとに多かったんだけど、一番「うわあ」となったのは菅原さんだった。青年から老年へぱっと雰囲気を切り替えるシーン、ちょっとぞくっとしたくらい巧い。しんぺーさんと親子の会話をぐだぐだと続けるあたりすごい好きだったなあ。しんぺーさんの方が10も年上なのに菅原さんが父を演じているという、そういう無理も舞台なら通るという面白さも堪能。
  • 私はやっぱり猫ホテの役者の中ではまことさんがいちばん好きかもしんない…一瞬で場を持ってく、華のある人ですねホント。ほやー。
  • 岩本さん良かった! 朴訥な感じがほんとに似合う。今回フューチャーされる場があって嬉しかった。もっと前に出ちゃえばいいじゃん、巧いんだから。
  • 村上さん、動きがいちいち面白い。馬があまりに酷くて笑い死ぬ。コントか! かと思えば「山城信介」なんかは屈折した感じがよく出てて。この人もほんとに巧い。
  • 私はやっぱりシリアスな、というか屈折した雰囲気漂わせてるイケテツに弱い。「三木啓介」、ハイテンションから一転、地べたにゴミのように這いつくばる様に鷲掴みされた。こういうの見てると、この人の個性の活かし方を一番よくわかってるのはやっぱり千葉雅子なのかなあと思ったりもする。「三木啓介」、ほんとに興味深いキャラクターでした。
  • まゆたんがいけしんを担いだよ!!! しかも担いだままハケてったよ!!!
  • 茶髪のいけしんに萌え萌え。

あと2回観ますが、感想が変わるかどうか。