『吐くな!飲み込め!蘇れ!』

ピチチ5『吐くな!飲み込め!蘇れ!』
2007.9.14(金)〜9.18(火)
下北沢駅前劇場
脚本・演出:福原充則
出演:植田裕一(蜜)/碓井清喜/オマンサタバサ(ゴキブリコンビナート)/竹井亮介(親族代表)/中西広和(温泉きのこ)/三浦竜一/三土幸敏(くねくねし)/吉見匡雄/山下純(こどもとあそぶ)/大西智子(あなざーわーくす)
http://www.ne.jp/asahi/de/do/pichi.html

14日の初日と、15日の昼夜の計3回観てきました。
今日は初・ピチチ観劇の友人が同行していたんですが、「面白いか面白くないか、それは君次第だ。だけど、間違いなくいろんな意味で衝撃を受ける筈だから覚悟しておきたまえ」と事前に通告。
初日に観たときは、正直なところ全体的にもっさりとした印象(であっても充分面白かったんだけど)でしたが、本日15日の夜公演はびっくりするくらい良くて、終わった瞬間「やっぱり好きだピチチ!!!!」と絶叫したい衝動に駆られました。絶叫しませんでしたけど。でも力いっぱい拍手して、気持ちよく帰って参りました。
そして改めてすっごく感じたことは、ピチチメンバーはほんとに最高に面白くて最高に個性的で最高に演技がうまい!!
それだけに今回野間口さんがいないことが残念でならないのだけれども。
あ、あと、福原さんの音楽センスがめちゃくちゃ好きです。今回も奮っておりました。
以下、ごく簡単にネタバレ感想。










初日に観たときは一本一本が長く感じてテンポもテンションも乗り切れなく、そして3話目の「2007年霧中の旅」は、今までのピチチにないカラーの作品であることに戸惑いを覚え、キャストの中にも浮いてるように見える方もいたりして、楽しかったし面白かったんだけど、それ以上に「今回のピチチはちょっと苦手かも」という意識の方が先に立った。福原節のセリフ回しも若干上滑りしてるような気がして、いつもはぐっさりと突き刺さってくるセリフの数々がどうにも捕まえられない、そんなもどかしさを覚えたり。
ところが。3回目のステージである15日の夜公演は、演出を変えてきたことによりテンポもテンションも絶好調、「2007年霧中の旅」は作品世界とキャストががっちりはまってなんともいえない情感溢れる作品になり、発せられるセリフはぐさぐさと心に響いてくる、そんな舞台になっていました。
福原さんの作品は、いつでも甘いことを言わない。駄目な人間は駄目なまま、退屈な人間は退屈なまま、ずっと生きていく。今回もそんなテイストの作品たち。1話目の「フォークの神様」では、人生どうにもならないと悟った夫婦に希望はなく(ダンナ、魂失くしちゃってるし)、4話目の「独裁ミー!」では、男たちはより消極的で受動的な生き方を選び、それぞれ去っていく。でも2話目の「俺よ、さらば」では、これから生まれてくる子どものために、楽しく幸福な世界を残さんと死ぬ決意をするという、「誰かに対する積極的な願いを積極的な方法で成就させようとする」という能動的なラスト(その結論が自殺というあたりがピチチらしいんだけど)は、今までのピチチにはなかった感じだったかも。
今回もまたキャラクターは、一人ひとり取り上げていちいち説明したくなるほど魅力的。特に今回、「俺よ、さらば」で三浦さん演じる「彼女(実はハト)」が最高に可愛くって素敵でした。あと碓井さんの赤ん坊とか衝撃的…
衝撃的といえば、ラストの仕掛けがね。客席にまで溝状の通路が延びてるからイヤな予感はしてたんだけどね。ほんとに頭の上をオマンサさんが通過していくのはなんとも居心地が悪かったです。あっはっは!



こちらは、物販のストラップ。男性器がガ○ャピンになってるという、お台場の「魚じゃないとやってられないよ」を観た人にはわかるというあらゆる意味で微妙なキャラモノです。買ったはいいけどケータイにつけるのも、ねえ。