岡太夫

蕨餅がもうれつに食べたいです。


というのも、先日、『狂言ござる乃座』に行ってきたんですが、そこで「岡太夫」という演目を観ましてね。

どーゆー話かざっくりと申し上げますと、舅つまり妻の父親の元に挨拶に行った婿どのが蕨餅を振舞われ、初めて食べたその味の虜になるんですが、どうしても蕨餅という名前が覚えられない。帰宅して妻に蕨餅を作ってもらおうと思うんだけどやっぱりその名前が思い出せなくて…という、なんともとぼけた演目。「岡太夫」というのは蕨餅の別名。
そのときに婿を演じる野村萬斎が蕨餅を食べるシーンがあまりにも美味しそうで。狂言なんで現代演劇に比べたら相当オーバーリアクションなマイムで表現されるわけですけど、体全体から「ちょう美味いもん食ってる!」感が出ていてそれが観客である私にスパコンと気持ちいいくらいに伝わってきて、おおおやっぱり狂言の身体表現てスゲエ…! と感心しつつ同時に「蕨餅がたべたい」欲求が。

あ、『狂言ござる乃座』、堪能しました。面白かったー! 狂言観てるといつも思うんだけど、あの舞台空間の「有効利用」っぷりがすごいですねやっぱり。あの限られた四角い舞台で、所作とセリフだけでどこへでも行けてしまう自由さ。そして身体表現の豊かさと、装束の可愛らしさ。狂言おもしろい。


いや、今はそんなことより蕨餅だ。


観てきた翌日、思い当たる「売ってそうなところ」をくまなく巡りましたが発見できず。くず餅はあったんだけどね…何故置いてないか蕨餅。

という話を人にしたら「蕨餅って夏の食べ物じゃないの」とご指摘を受けました。…おおお…(←「そう言われてみれば」のリアクション)


つまりあれですね、夏になるまで蕨餅は食えない、と。


仕方ないので明日あたりくず餅でも買って帰ろうかなあ…がっかり。