マンションマンション『人間フィルハーモニー』

マンションマンション『人間フィルハーモニー
2007.12.21〜12.26
下北沢 駅前劇場
脚本・演出:福原充則
出演:嶋村太一(親族代表)/高木珠里(劇団宝船)/チョウソンハ(ひょっとこ乱舞)/富岡晃一郎/根上彩/三浦竜一/横畠愛希子/菊地明香/小森理
http://www.ne.jp/asahi/de/do/ms.html

22日の夜公演、観てきました。
たのしかった!! 福原節冴えわたり、役者も素晴らしくてひじょーに楽しみました。26日までやってますので、是非おすすめしたい。










正直なところ、前半はちょっとダルいな…という展開でしたが。後半入ってからの怒涛の展開はそんな前半をも吹っ飛ばす、それはもう素晴らしい突き抜けっぷり。
婚約者・葉子(高木珠里)を愛するあまり結婚に踏み切れない高田(チョウソンハ)、売れない作家伊丹(嶋村太一)とそんな夫を軽蔑する妻の麻子(根上彩)、子どもゆえ愛することの何たるかがわからないまま愛し合ってしまった中学生(富岡晃一郎・横畠愛希子)。福原流の3つの純愛物語が、時に絡みながら同時進行する展開はまさに「フィルハーモニー」な群像劇。どうしても結婚してくれない高田と結婚するため、世界を水没させてふたりっきりになる、というバカバカしくも壮大なオチは福原さんにしか書けまい。しかも劇場に突如プールが出現してそこをじゃぶじゃぶと泳ぐという滅茶苦茶さ。素晴らしい…!(私は席が遠かったので良かったですが、プールすぐ横に座ってた友人はけっこう水を被ったらしい。そりゃそうだ) このへんは舞台美術先行型演劇ユニットの面目躍如。

それにしても今回はチョウソンハに目が釘付け。素晴らしすぎる。前から気にはなってた役者でしたが今回初見。「SP」のポール役も相当面白かったので期待してましたが、ほんとに巧いしテンションの上げ方もハンパなくて、凄いの一言。福原脚本のキャラクターに見事にはまってました。一緒に観ていた更紗さんに後で言われて気付きましたが、声がオマンサさんに似てる。これはピチチで是非二人の共演をみてみたい…!(テンションonテンションで大変なことになりそうだ)(今回の高木さんとのコンビもテンションonテンションで大変なことになってましたが)(高木さんは相変わらずほんとに凄いです)(いろんな意味で) 「京王線に跨り…」と、馬に乗るように疾走する様のバカバカしさ。好きすぎる、こんな脚本書く作家も、それを見事に演じきる役者も。

今回はほんとに巧い役者が揃ったなーという感じだったんですが、やっぱり嶋村さんの演技が好きだ。あのほんとにどうしょうもない感じとか、情けない笑顔とか。この人の出演作をもっとどんどん観たい。親族ライブが楽しみ。
そういえば、嶋村さん演じる作家・伊丹が原稿用紙を客席に向かってぶん投げるシーンがあり、終演後、帰り際に落ちていたその原稿用紙を何気なく拾い上げて見てみたら、なんとあの大好きな名作「天文クラブ」*1の脚本の一部だったんでびっくりしてしまいました。嬉しすぎる…!! 思わずしわくちゃになってたそれを丁寧に伸ばしてお持ち帰りしてしまったよ…

ともかく、好き嫌いは当然あるかと思いますが、一風変わったユニットであることは間違いないので、観たことない人は一度ご覧になるといいんじゃないかなっ。

*1:去年の親族代表ライブ『りっしんべん』で、福原さんが書いたコント