ペンギンプルペイルパイルズ『審判員は来なかった』

ペンギンプルペイルパイルズ『審判員は来なかった』
2008.7.10〜20
シアタートラム
作・演出:倉持裕
出演:小林高鹿/ぼくもとさきこ/玉置孝匡近藤智行吉川純広安藤聖片桐仁

http://penguinppp.com/next/13/

19日のマチネ。










すげー面白かった! というか物語があまりにも私の好みすぎる。政治・戦争×宗教という題材が好物なのです*1
ペンギンの公演は『道子の調査』『ゆらめき』に続いて3回目。今回のが一番好きだなあ。前2作は、異物感や違和感(そこはかとない不協和音)がじとっと観客の中に忍び込んでくる感じでそれはそれで私の大好物なんだけど、今回はそういった重さよりもコメディの軽さが全面的に押し出されていて、物語の複雑さのわりに描かれていることはシンプルでわかりやすく、ほんとに楽しんで観られた。キャストも、彼らが演じているキャラクターたちも多彩で魅力的。
帝国から独立して1年ほどの新生国家の大統領官邸、地道に生きている農民一家、「国技」開発に取り組む審判団と選手たち、それに権威の失墜と信者離れを食い止めたい教会。ひとつの物語が4つのグループ4つのシーンで次々と描かれていくんだけど、そのバトンタッチが見事。キャストはみんな3役ないし4役をこなしていくんだけど、見えないところ見えるところでのその切り替え(早着替えも含めて)の工夫も面白いし、その不自由さを逆手に取っての演出も楽しくてほんとに構成がよくできてるなあと、観ながらすごくわくわくした。

  • 毎回舞台美術がかわいいペンギンだけど、今回もかわいかった! 回転舞台にしつらえられた3つの部屋、ちゃんと連動していてうまいなあと思った。舞台セットっていうのは正確さよりもリアルさで、たとえ実際にはありえない配置やサイズだったとしてもそれが違和感なく見えて整合性があればいいと思うんだけど、今回はそれのお手本みたいなセットだったんじゃなかろか。
  • ペンギン観るたび思うけど、小林高鹿ってほんとハンサムだなー。でも役者としての雰囲気が二枚目然としてないとこが好きだ。(褒め言葉なのか、これ)(褒めてますよもちろん) 今回、神経質な大統領役も良かったけど、国技考案者パヒム役が「笑える可哀想」なキャラクターで面白かった。(や、けっしてメガネだからという理由ではなく)
  • 玉置さんが面白すぎる。だいすきだ…! 盛大にコケるシーンはこの作品の中でも最大の名シーンじゃなかったろうか。
  • ぼくちゃんかわいいぼくちゃんかわいい。この人はもう「ぼくもとさきこ」というキャラクターが確立してるのだな。
  • つかペンギンの役者はみんな好きだ。若手の2人(近藤智行吉川純広)も良かったです。
  • 安藤聖、演技に貫禄ありますね。って思ったら1983年生まれだった。若っ! すごくはきはきぱきぱきした感じがして、後でミュージカル出身だと聞いて納得した。
  • 仁ちゃんが、最大限に「片桐仁」を活かした役で嬉しかったし楽しかった。ぼんやりとトボケた親善大使役、おちゃめでトボけた老審判長役、どっちもハマり役。「片桐仁の取扱説明書」を手に入れた人は、もはやらめんずの相方だけじゃないってことかしら。

思い返しても楽しい公演だったなー。もう一回くらい観たかった。

*1:何故なら大学の卒論の題材もこっち方面だったから