『その夜明け、嘘。』

『その夜明け、嘘。』
2009.2.7〜23
青山円形劇場
作・演出:福原充則
出演:宮崎あおい吉本菜穂子/六角精児

http://www.sonoyoake.com/index.html

今日は昼間に『ちっちゃなエイヨルフ』を観てそのあとこれで2ステしたんですが、この2作品を続けざまに観て強く思ったのは「ホンが面白ければそりゃ面白いよね!」ということでした。もちろん舞台の構成要素は脚本だけじゃないからホンのつまらなさを演出がカバーして面白い作品に仕上がったり、逆にホンは面白いのに演出や役者の演技がそれをブチ壊しにしちゃったりってこともあるだろうけど、基本的に脚本がきっちり面白ければ、かなりの確率できっちり面白い芝居が仕上がるんだと思った。










というわけで、すごい面白かった! 満足!
やっぱり福原さんの脚本が抜群に面白いし(相変わらずの福原節)仕掛け満載の演出にもニヤニヤしちゃうし、そして役者3人がみんなほんと良かった。開演しばらくは全体的に上滑りしてる感じがしてちょっとハラハラしてたんだけど、ほどなくエンジンかかってあとはテンション高く最後まで。二時間という上演時間は決して短くはなかったんだけど、集中力が途切れるようなこともなく引き込まれて観ることができた。そして私が一番良いなと思ったのは、3人の役者がまったく対等に舞台に立っていたこと。主演が宮崎あおいという今をときめくスタアということで、吉本菜穂子・六角精児という2人が彼女の引き立て役的ポジションに立たされていたらヤだなあ、というのが今回の私の最大の懸念事項だったんだけど(実際、有名どころ*1が出ている舞台だとそう感じることが少なくなかったので)、主人公はたしかに宮崎あおいだったんだけど吉本菜穂子も六角精児もそれぞれ役割も見せ場もあったしかなりの高確率で客席(男子率が異常に高くてほとんど宮崎あおいのファンだと思われる)から笑いを引き出していたし、特にファミレス店長(六角精児)とアルバイト(吉本菜穂子)の滅茶苦茶なラブストーリーなんかは相当冴えていた。(福原作品にはお馴染みのモチーフなのでピチチファンにもたまりません。) 舞台経験の少ない宮崎あおいの演技がどうなのかというあたりもわりと懐疑的だったんだけど、もうちょっと声が張れればなーと思った以外はかなり良かったと思います。特に意外なほど男役がハマってた。この舞台を観た人の感想としてよく挙げられてたのが「宮崎あおい顔ちっさ!」ってものですがほんとにちっさ!と思いました。
それにしても吉本菜穂子が面白すぎる。福原作品に似合う女優さんて気がする。ピチチに出ないかな。六角さんは貫禄。自転車の神!
オリジナル…というか、今回のストーリーの元になってるニッポンの河川の『トビウオ人間VS形のない何か』も観てるので、それを懐かしく思い出したりもしつつ。どっちがどうとかどっちが面白かったとかいうのではなく、どっちもそれぞれ良さがあったと思う。オリジナルでも相当きゅんきゅんして大好きだったシドとナンシーの物語はやっぱり今回もきゅんきゅんします。福原さんの乙女心。シドはパンクスなのにバックに流れる曲がフォークってあたりがこの物語をよく表わしてるよね…完全にフォークの世界だもんな、あれ(笑)


やっぱり福原さんの作品、好きだ。

*1:ここで言う「有名どころ」っちゅうのはつまりテレビに出てるような人