ロハ下ル『セインツ・オブ・練馬』

ロハ下ル『セインツ・オブ・練馬』
2009.7.1(水) 〜 7.5(日)
赤坂レッドシアター
作・演出:山中隆次郎
出演:町田水城(はえぎわ)/數間優一/芦原健介/石澤彩美/伊東沙保/梅里アーツ/遠藤留奈/岡村泰子(きこり文庫)/シトミマモル/田中慎一郎/古河耕史/山縣太一(チェルフィッチュ

http://www.lohakudaru.net/

スロウライダー解散して、新たに立ち上がったユニットの旗揚げ公演。7/4、マチネに。空席目立ってたなあ。勿体無い。
スロウライダーはわりと私的にアタリハズレのあるユニットだったんですが、今回のはすごく私好みのテイストの作品でした。いや面白かった。練馬という狭いコミュニティにしがみついてどこにも行けない人たちの閉塞感。他人に対する優越感と虚勢、そこから生まれる悲劇… こういうのを描かせたら山中さんてほんと上手いなあと思う。新ユニットとしての目新しさはなかったものの、スロウライダーファンだった身として充分楽しめたのでヨシとします。
時代設定は戦後間もない頃で、道具立てもそれっぽく揃えてありましたが、登場人物たちが語る台詞は現代風(というか山中流)。そういや『アダム:スキー』のときも、昭和初期あたりの時代設定でありつつ登場人物たちは現代風で、そういう見せ方もあるのか、と思ったなー、などと後になって思い出したりしましたが、その軽い台詞回しが重く沈みがちな物語を救っていて、観やすいものにしていたと思う。そこに拭いがたい違和感を感じる人はいるだろうけど、山中作品の特徴のひとつがこの台詞回しだと思うので、私は特にひっかかることなくすんなりと作品世界に馴染めました。小松があっさりと「組織の人間」であることを明かすオチは、軽すぎてオチの放棄と捉える人もいそうだけど、私はこういうの観ると面白くてニヤニヤしちゃう。おまけに茶菓子的に「どうぞつまんでください」って毒饅頭差し出すバカバカしさ。こういう感覚好き!
あと、役者に達者な人が揃ってて安心して観てられました。特に町田水城と遠藤留奈が印象的。
ロハ下ル、2回公演は9月に円形劇場ですって。これは楽しみ。