ハイバイ『て』

ハイバイ『て』
2009.9.25、26(プレビュー公演)
2009.10.1〜12
東京芸術劇場小ホール1
作・演出: 岩井秀人
出演:菅原永二猫のホテル)/金子岳憲(ハイバイ)/永井若葉(ハイバイ)/坂口辰平(ハイバイ)/吉田亮/青山麻紀子(boku-makuhari) /上田遥/町田水城(はえぎわ)/平原テツ/用松亮/大塚秀記/猪股俊明
http://hi-bye.net/

千秋楽に滑り込みで観てきた。「初演を超えなければ再演の意味がない」という男岩井の言葉に偽りなし。すっごい良かったです。たくさん笑ったし途中何度も涙ぐんだ。北九州公演が10/24・25であるから是非オススメしたい。北九州公演、主演が菅原さんじゃなくて岩井さんになります。










初演も素晴らしかったけど今回はさらに感情移入してしまった。ぐわーと心に響きました。ストーリーはまったく同じだし、セリフや演出の変更もさほどなかったように思うけど、個々の役の掘り下げ方が深くなった…の、かな。金子さんの熱演と吉田さんの押さえた演技が素晴らしかったです。菅原さんもやっぱり良かったなあ。女優だ。(菅原永二は「女装」に落ちることなく女を演じられる人だと思います。おばさんを演じていてもどこか艶っぽい菅原さん。) 岩井さんの演出って、ことさら女っぽさ(ていうかおばさんぽさ)を出させるんではなく、そのままでいて女(ていうかおばさん)に見せる、そういう感じ。だいたい、スネ毛そのままだったしな… たまに気になる菅原さんの滑舌の悪さは、今回は役にしっくりきていてリアリティの演出に一役買ってた気がする。
家族がそれぞれに家族のことを思い、それぞれに役割を果たそうとすることでかえってお互いを傷つけていく(父親の暴力だって、父親自身は「理不尽に手を上げたことは一度もない」と言い切る)、それは残酷だけど滑稽でもあって。バラバラだけど家族は否応なく「家族」である。それ以上でも以下でもない。それはおそらく通子という、家族を背負い守る女性の強さが支えているものなんだろう。
またしばらくしたら再演して欲しい作品。