ピチチ5プロデュース『サボテンとバントライン』

ピチチ5プロデュース『サボテンとバントライン』大槻ケンヂ作詞「サボテンとバントライン」より
2009.10.30〜11.8
青山円形劇場

脚本・演出:福原充則
出演:要潤今野浩喜(キングオブコメディ) /田中理恵/植田裕一/碓井清喜/高松泰治/三浦竜一/三土幸敏/吉見匡雄/富岡晃一郎/小野健太郎
http://www.ne.jp/asahi/de/do/sab.html

7日に観てきました。今更ですがまあ、自分の記録なので。
福原さんがピチチが筋少の名曲「サボテンとバントライン」をモチーフに舞台! ってだけでテンション上がる公演でしたが、それだけにどうなっちゃうのか予測がつかなくて開幕までをちょっとハラハラしながら過ごしてたんだけど、杞憂でしたね。面白かったー。観終わったときに「福原さん、オトナになった…?」と思った。冴えないくんがたくさん出てくるピチチらしい物語だったけど、でもいつものピチチとはちょっと違った余韻が残って。「大人になった」ていうか、初めて観劇する人も少なくなかったであろう今回、そのへんを考えてのとんがりすぎない匙加減だったのかも知れませんが。でも冒頭、ガクラン姿のジュン・キャナメが死にたいとグラビア誌を撒き散らし狂ったように走り回るあたりはピチチらしくてニヤニヤしちゃった。
「サボテンとバントライン」という西部劇の映画を撮る映研の高校生たちを主人公としたこの作品、原案である「サボテンとバントライン」という曲を、直訳ではなく翻案した感じで、ストーリーは違えど、雰囲気…というか作品の世界観はかなりちゃんと踏まえられていたというのが私の印象。筋少のことろくに知らないくせに世界観とか言うと筋少ファンの人に怒られそうですけど…
以下、ざっとメモ的に。
■ジュン・キャナメ、こんなキレーな顔の人をピチチでどう使うつもりなんだ…って思ってましたが意外にもピチチ的キャラクターに違和感なし。うじうじと卑屈で屈折した思春期のメンドクサイ男子。もうちょっと暗さが欲しかったけど。いやでも良かった。もともとわりと好きな俳優さんですがますます好きになったよ。
■あと、キャナメさん意外と細くないのね。(パンツ一丁姿のときに腹肉を確認)
■今野さん凄い。卑屈で理不尽でちょっと狂ってる感じがよくハマってて。キングオブコメディはさほど知ってるわけじゃないんでこういうこと言うのも何ですが、上手いことキャラを活かしたなあと思った。
■田中さんて方、まったく知らなかったんですが良かったです。屈託なく、悪意なく人を傷つける感じ、存在自体が周りを振り回してボロボロにしてしまう(もちろん相手が勝手に振り回されてボロボロになってるだけ)感じが、イヤーな風によく出てた。
■やっぱりピチチメンバーはみんな抜群に個性的で上手い。『その夜明け、嘘。』のときも思ったことですが、主演に負けないくらい脇役にも見せ場を作る、むしろ会場の空気を持ってっちゃうくらい活躍させちゃう、福原さんのそういうところが頼もしい。
■個人的には、今回のMVP三土さん。「狂うときの伝統的な装束」って言って白ハチマキに懐中電灯2本挟むの最高。散り際のかっこよさも見事でした。いいなあ、三土さん…かっこいいよ…(しみじみ)
■「青少年よ。おまえが悩んでいるいろんなことは、映画の中ではすべて解決しているぞ」。


客演陣も良かったと思うし、全体的に満足なんだけど、でも、でも、こういうの観ちゃうと、「ベストメンバーのみでピチチ5本公演が観たいなあ…」って思っちゃう。よ、ね…ここ数年出演できてないあの人も交えてさー。ねー。