青年団リンク『武蔵小金井四谷怪談』

青年団リンク『武蔵小金井四谷怪談
作・演出:岩井秀人(ハイバイ・青年団演出部)
出演:荻野友里 端田新菜 石橋亜希子 山内健司(以上青年団
古屋隆太(サンプル・青年団) 猪股俊明
ハイバイ:http://hi-bye.net/

5/24のマチネ。おっもしろかった!
四谷怪談の粗筋が背後に字幕で出て、それに呼応したシーンが演じられる。(とはいえ完全にリンクしてるというわけでもないんだけど) はじめは、彼女との交際を彼女の父親から拒否された男が成り行きで父親を怪我させてしまい、それを偶然目撃していた女に「黙っていてほしかったら協力しろ」とユスられる話。そこで終わりかと思いきや、まったく同じ話が、今度は彼女の視点から語られる。そこで見えてくるまったく違うストーリー。この手法はハイバイ本公演の『て』のときと同じなんだけど、謎解きのように「ああ、こういうことだったのか!」と展開される場面に食いついていくのはなんとも楽しかったです。一方からは見えてこない人間性、そしてきっかけだけでタガが外れたように崩壊してしまう常識。はじめのうち笑って観ていても、次第にそこにあるものの正体がわからずちょっとぞっとしてしまう、まさに「怪談」なのでした。
これが第一部で、続けて第二部。現れた男が「作・演出の岩井」を名乗り、大阪の風俗街に取材に行ったときの話をしはじめる。と、次第に場面は「現場」にシフトしていって…って、これ『オムニ出す』のときにやってた落語「夏子の旅」の改編だよね! エピソードは違えどおおまかな流れは「夏子の旅」のときと同じ。くるくると「立ち位置」によってキャラクターが演じわけられていって、最後は「あいつ一人で何やってんだ?」のオチ。やっぱこれ面白い!
すっかり岩井作品は外せなくなりましたね…