庭劇団ペニノ『アンダーグラウンド』

庭劇団ペニノ 19th『アンダーグラウンド
2010年6月6日(日)〜13日(日)
シアタートラム
作・演出:タニノクロウ
出演:五十嵐操、上田遥、坂倉奈津子、島田桃依/瀬口タエコ、高田郁恵、浜恵美、ビア スズキ、明石竜也/長江英和マメ山田阿部篤志(Pf)・山本大将(Vn)・渡邊一毅(Cl)・秋葉正樹(Dr)
http://www.niwagekidan.org/

12日のマチネ。ペニノやっぱりいいわー。タニノクロウ変態だわー。(褒めてるよ)
今回再演で、初演も観てます。一見大筋同じようでいて、表現したいものをまったく変えてきたので、再演っていうか改訂っていうかむしろ新作っていうか、みたいな感じで受ける印象は初演とまったく違いました。どっちも好き、ていうか、作品の成り立ちがまったく違うので初演と再演を比べるのもナンセンス。

まず進行役のマメ山田が、これから行われるのは「手術ショー」である旨をはっきりと観客に説明し、患者役の俳優がどういう仕掛けのベッドで演じるかというのもはっきりと見せてしまう。これから行われるのは、完全に「つくりもの」のショー。楽団の存在も、初演では「生演奏と演劇のコラボレーション」であったものを、もう一歩進めて「ショーの一部」として芝居の中に取り込んでいる。ここでもう完全に前作とは成り立ちが違う。観客は「つくりもの」であることを納得ずくで「手術」を見る趣向。
初演との違いで面白いなと感じたのが、初演では演劇として「リアル」な手術シーンを見せつつも、患者の体内から取り出すのがありえないガラクタ(水道のカランとかそういうのだったと思う)ばかりだったのに対し、今回は「つくりもの」の手術シーンを見せつつも、患者の体内から取り出すものが本物そっくりの臓器だった点。現実っぽさと嘘っぽさ、でも結局どっちも嘘、みたいな、アンバランスさが舞台に目を惹きつけました。
『太陽と下着の見える町』では存分に「チラリズム」を見せていたタニノクロウですが、今回の『アンダーグラウンド(再)』も「チラリズム」演劇だったんじゃないかという気がしています。体内を見せるチラリズム