シュロック・ホームズの冒険

シュロック・ホームズの冒険 (ハヤカワ・ミステリ文庫 42-1)

シュロック・ホームズの冒険 (ハヤカワ・ミステリ文庫 42-1)

手に取った瞬間パロディだとわかるようなアナウンスがまったくされてないんだけど大丈夫なのか…? 原典と間違って読んでそのままこれが原典だと思い込む、なんていう、この本で語られる「事件」みたいな事態に陥っている読者がいないことを祈るばかりだ。
というわけで、勘違いや思い込みでとんちんかんな捜査を続けて、偶然解決に辿り着いちゃったり逆に大事件を引き起こしたりという愉快なホームズパロディ。電車で読むのに苦労するくらい爆笑の一冊。シュロック・ホームズ氏の同居人にして助手であり、またこの物語の語り手であるワトニイも事件を勘違いしてるのに、それが勘違いであることが読者に伝わるように書くっていうのはかなり難しいんじゃないかと思うんだけど、そのへんの語り口の上手さ、ロバート・L・フィッシュの炯眼にはただただ感心するばかりである。(←なんとなくワトニイ口調)