哀しき道化師

哀しき道化師 鴨居玲の絵画と生の軌跡

哀しき道化師 鴨居玲の絵画と生の軌跡

鴨居玲は、レゾネ持ってるくらい好きで、私にとって特別な画家。鴨居玲関連書籍は何冊か読んだけど、この本は未読だったので、先日、横浜そごう美術館に鴨居玲展を観に行ったときに物販で購入。評伝かと思っていたら、著者の「鴨居玲論」といった内容だった。作品の背景として、画家の生涯や人となり、エピソードなんかを見るのは面白いけど、そこから何かを読み取るのは結局鑑賞者個人であるから、著者なりの鴨居玲の「読み解き」といった内容は、私は正直なところ「余計なもん読んじゃったな」という気がした。だからといってこの本のあり方が間違ってるとかそういう話ではなくて、私にとっては無用の内容だったというだけですが。
ところでこの横浜そごうでの没後25周年の展覧会、代表作といえるものが多く出展されていて見ごたえある展覧会でした。2回観に行ったんだけど、まとまった鴨居作品を一堂に観られる機会ってそうそうないので、八月末の会期終了までにもう一回くらい観に行きたい。2回とも別の友人と行ったんだけど、2人が2人とも「C夫人*1肖像画には醒める」と言ってたのが印象的でした。うんうん、私も同意見だよ… 鴨居玲は、ほんらい「個人」を描く画家じゃない筈だから。そのへんの、画廊と画家との関係なんかによく言及されていた点ではこの本もなかなか興味深い内容ではありました。

没後25周年 鴨居玲 終わらない旅
横浜そごう美術館
2010.7.17〜8.31
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/10/0717_kamoi/index.html

*1:契約画廊の社長夫人。この画廊の美術館には、いろんな画家の手になる「C夫人の肖像画」がたくさん展示されてて、いささか胃もたれした記憶が。