裁判長!ここは懲役4年でどうすか

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公開初日、舞台挨拶つきの回を観てきました。朝の9:40開演て。早いぜ…
原作読んでさらには向井理主演のTVドラマ版も見てた、馴染み深いといえば馴染み深い作品だったんで公開を楽しみにしてましたがコレ面白かったよ!










内容的にはもちろんだいぶんアレンジされているけど、TVドラマ版よりも原作に近い感じ。特に、あくまでも第三者の視線での「高みの見物」感は、第三者目線の傍聴記録であった原作の視線に忠実と感じる。ドラマ版は事件そのもの(あるいは裁判という「仕組み」そのもの)に対する解説が詳細だったけど、映画版は「傍聴は趣味! 高みの見物! どうせ他人の人生だし!」という視点が徹底されている。主人公のタモツはその「高みの見物」に疑問を持って一時身を引いてしまったりするわけだけど、そしてその結果、傍聴人としての立場を越えて積極的に裁判に関わっていこうと行動を始めたりするわけだけど、他の傍聴マニアの3人「ウォッチメン」たちは、終始徹底して「趣味」を貫く。そして結局、タモツも「まあ、そうっすよね」みたいになってなんとなく大団円みたいなユルい感じが楽しい。なんとなく楽しい。この「なんとなく」がよかったんだろうな。
とにかく設楽さんてのが絶妙のキャスティングで、見てるだけでも充分ニヤニヤできる楽しさだったよ! 舞台挨拶のときに監督も言ってたけど、この人ほんとに演技のカンどころがいいんだと思う。リアクションが自然で、かつ可笑しい。間合いが絶妙。「バカなの?」のつぶやきはあれまんまバナナマンって感じでニヤニヤ。あとは小劇場役者がわんさと出てて小劇場ファンにはたまんない。(どうでもいいかも知れませんが、政岡さんが映画でなおあの顔色の悪さ、ってのにちょっと驚いたよ…メイクとかじゃもうあのクマ隠せないのか…?) そしてそして、私的にはやっぱり村上航の活躍がちょう嬉しい! あの、マニアらしいねちっこい感じ、一見フツウで真面目そうなんだけどマニアトーク入るとやや変態っぽさが滲み出てくる感じがサイコウ。吸えない筈の煙草まで吸ってがんばってたなー。煙草っていえば、ウォッチメンたちが居酒屋や喫煙所でスパスパ吸うシーンがけっこうあって、最近じゃ映画中の喫煙シーンてあまりないと思うんだけど、そういうとこにこの映画の反骨精神を感じて(うがちすぎか?)これもひとりでニヤニヤしてました。
というわけで自分の中ではおおむね好評だったこの作品ですが、美人鬼検事の片瀬那奈が言われてるほどドSに見えなかったのがちょっと残念だったな。美人なんだけど、鬼検事てほどじゃないというか。巧みな尋問で退路を絶ってから被告を追い詰めてペシャンコにする、っていうとこまで徹底的に見せて欲しかった。ドラマ版にも美人鬼検事が出てきたけど、あれは鬼検事だった。片瀬那奈はやや迫力不足。若すぎたせいかも。


ところで、この映画の脚本家さんがTwitterで『 「NO泣かせ!NO癒し!NO自分探し!NO手料理!NO動物! NO病死!NOタイアップ曲!NOテレビ局!NO香川照之!」…今の日本映画で当たり前の要素が何ひとつ無い、これまでなかったジャンルの映画の脚本を書きました』て書いてたのが笑いました。特に「NO香川照之!」。…ほんとだ!(や、香川さん大好きだけど!)