夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

村上春樹のインタビュー集。面白かった!「興味深い」という感想よりも、ごく単純に「面白い!」って思った。つまり、この本に出てくる表現を借りれば、読み手を興奮させる「ナラティブ(物語)」があった、ってことなんだと思う。そしてこれも非常に面白いなと思ったんだけど、村上春樹はインタビューに答えても(つまり話し言葉でさえ)それを文章に引き移すと「村上春樹の文体」になるのだな。本人もインタビューの中で言ってるけど、村上作品の中に出てくる会話は、普通の会話としたらやや不自然である。しかしそれはやはり彼の身のうちから導き出された言葉であり会話なのだな、と、「村上春樹の文体で語る村上春樹」の言葉を文字で追いながら思ったりした。
私は初期の頃の村上作品のファンで(『ねじまき鳥クロニクル』からちょっとついていけなくなってしまった)、最近の作品は読みはするけどそこまで深くはまることもなく、読み返したりもせず(「鼠三部作」とか『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』とか、何回も読み返してるのに)、内容も正直あんまり覚えてないし、あまり熱心な読者ではなくなってしまっていたのだけど、彼のストーリーテラーとしての才能と、それを制御するストイックさ、常にハードルや制約を設けて作品を成長させていく挑戦者としての姿勢をこの本で知ることができて、彼の作品の変化をもう一度辿ってみたいと思った。つまり、もう一度彼の作品を「楽しみたい」と思った。作品によっては興味が持てるもの持てないもの、共感できるものできないものといろいろ出てくるだろうけど、それでももっと彼の作品を知りたいという、好奇心が湧いた。この「好奇心」が刺激された、っていうのがすごく重要。物語のページを繰る喜びを、思い出させてくれた、というか、認識させてくれた、という感じ。

SP THE MOTION PICTURE〜野望篇〜

http://sp-movie.com/index.html
ドラマ終了から2年ですか。待たされたなー。バルト9のいちばん大きいシアターでほぼ満席でした。すごい人気だな。
ドラマの映画化って、「テレビをそのまんま映画にしただけ」、つまり「これって2時間スペシャルとかでテレビで放送するんで充分じゃね?」ってな残念な結果になっちゃう場合が少なからずあると思うんだけど(って言ってもドラマを映画化した作品ってあんまし観たことないんだけどさ…)、この『SP』はちゃんと「映画」になってたから非常によかった。まあドラマ版からしてわりと映画っぽい作り方だったけど。ツッコミどころは多いですがそれもまたヨシ! 面白かった! 一緒に観に行った更紗がアクション苦手で怯えてましたが、タランティーノやロドリゲスや香港ノワールが大好き(←ここで引っ張り出す例えとしては方向が間違っている気もするが)な私には無問題! 「アクション映画」を標榜しているだけあって、確かにこれだけしっかりした肉弾アクションを展開した邦画はあんまりなかったろうなと思う。岡田くんの身体能力の高さはすげいぜ。あとはもう、野間口さんのコスプレ大会(違)を観られただけでかあさんおなかいっぱいだよ…ふう。野間口さんやっぱり雰囲気あるわ。あと、堀部圭亮蛍雪次朗が出てて笑いました。『裁判長!〜』に引き続き、本日この2人観るの二度目。

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裁判長!ここは懲役4年でどうすか

http://www.do-suka.jp/
公開初日、舞台挨拶つきの回を観てきました。朝の9:40開演て。早いぜ…
原作読んでさらには向井理主演のTVドラマ版も見てた、馴染み深いといえば馴染み深い作品だったんで公開を楽しみにしてましたがコレ面白かったよ!

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グラナダTVドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」

第22話:銀星号事件

■ホームズの髪が短い…(不満)

■おお、これがいわゆる「ピンク・アン」(競馬新聞)てやつですね。

メイドさんカワユス

■ホームズ「へえ、君も競馬をやるのか」 ワトソン「うん、まあ、たまに気晴らしにね」。傷痍軍人年金の半分つぎ込む競馬狂いのくせに!!

■日本語版、ワトソンに「待ってて」と言うホームズ。なんで「待っててくれ」とかじゃなくてこのときだけこんな可愛げのある言い方…

■って油断してたら日本語版、ブラウンに「僕の命令通りにやれ!」。こういう緩急つけんのやめてもらえませんか萌え死にます。

■「(ロス大佐を)からかってやろう」って子どもかオマエは。でもそんなあなたが大好きです。それにしてもこのセリフを露口さんの声で言われるとたまんない。

■銀星号カワユス

■原作では、銀星号の正体明かすのは出走後だけど、こちらでは出走前。原作の方がリアルじゃないかもしれないけど、芝居がかってて(つまりホームズのやり口っぽくて)面白いのにな。


第23話:悪魔の足

■何かと切ないシーンの多い一編だなー。

■コカイン打ってるのをコソコソとワトソンから隠すホームズ。子どもっぽい。

■そしてコカインと決別するホームズ。切なく良いシーンだけど不法投棄! 針のついた注射器を海岸に埋めるのは完全に不法投棄!!

■完全防寒のためか帽子の上からマフラー巻いてるホームズ。これはひどいティーポット…(本国の放送時にそう呼ばれたらしい。確かにそんなシルエットだ)

■女嫌いなくせに、意外と女性を「たらしこむ」のは上手いホームズ。怯える家政婦の手を取り笑顔で相手の気持ちをほぐしてきっちり事情聴取。

■「僕は愛したことがない」って、切ないセリフだなおいホームズ…


第24話:ウィステリア荘

■だいぶんアレンジされてますね。

■少女2人に襲われるワトソン…

■この物語の見所は、なんつってもVSベインズ警部。ホームズと対等に知恵を競って彼を唸らせた、シリーズ中でも珍しいキレ者。田舎者っぽい外見がまたヨシ。

■中米の小国の暴政と混乱など、「あなた方にとっては違う惑星の話」という夫人の言葉は現代の我々にも突き刺さる言葉。



第25話:ブルース・パーティントン設計書

■暇をもてあそんでいるホームズにニュースはあるかと訊かれたワトソン、「南米でまた革命だ。君には興味あるまい」。前話の夫人の言葉を受けてこのやり取り、なんてシニカルなんだい…

■「あなたは忠実な番犬だ」って、これってミセス・ハドスンにとって褒め言葉なんだろうか…

■不法侵入はもうすでにお約束。こうして改めてドラマでみると、ホームズとワトソンが相当法をまげて危ない橋を渡ってるケースが多いのに気付くよね…

■ところでブラッドストリート警部がかなり男前なんですが…ドキドキ!(特に日本語版。吹替えの声がシブすぎる)

■「ついておいで、シャーロック」っていうマイクロフトの言葉には、マイクロフトにとってシャーロックはいつまでたっても「弟」なんだな、という感じが滲み出てて面白い。いや、あたりまえなんだけど。男兄弟の絆って面白いね。特にこの変人兄弟の絆はいろいろ想像力を刺激する。



第26話:バスカビル家の犬

■ただでさえ原作の好きなシーンがいろいろカットされちゃってるのに、さらに編集されちゃってる日本語版。冒頭のベイカー街の部屋のシーンがまるっとなくなってるよう!

■でも、岩屋のシーンは日本語吹替えの方が、ワトソンのぶーたれた感じが出ててマル。



第27話:レディー・フランシスの失踪

■あ…ホームズの髪がちょっとだけ伸びた…

■そして今更ですが、ジェレミー・ブレットは歳取ってもやっぱりハンサムだわー。

■かなりアレンジしているがその分面白い。「信心屋ピーターズ」との攻防はかなり見もの。

グラナダ版のレディ・フランシスはレディ・ビクトリア・ランバイン*1を思い出すな。ウィッシュ・ボーンで勝てなかった、不幸なビクトリアといった趣。

■レディ・フランシスを簡単に詐欺に引っ掛かった愚かな世間知らず、とは言えない。当時のイギリス女性は本当に抑圧された存在だったのだ。それを思うとシュレシンジャーことピーターズの悪辣さは相当なもの。

■常に考えるより先に行動する、行動家のワトソンくん。(多くの場合、ロクな結果は招かない)

■以前見たときも、ホームズの「友人は寝不足なんです!」っていうセリフに爆笑したのを思い出した。寝不足て。

■そして以前見たときも、老婆の死体が明らかに呼吸しちゃってるのにツッコんだものである。

■ホームズとワトソン、非常事態とはいえ押し込んでの恐喝まがい。不法侵入どころじゃない法の犯しっぷり!

■その一方で、金で解決できることは金で解決する、現実家のホームズ。

■それにしても切ないラストだな…レディー・フランシスの心神喪失状態もつらいけど、珍しく本格的に落ち込んでるホームズが痛々しい。



第28話:ボスコム渓谷の惨劇

■相変わらずホームズとワトソンの会話はかわいいぜ。ホームズの強引さも微笑ましいほどだ。「35分後に汽車が出る」なんていきなり申し渡されるワトソンはたまらんだろうが。しかもその直前にホームズはわざわざ「邪魔したくない」なんて言ってる。なんだこの引いといて押す、みたいなややこしいワトソンの絡め取り方は。これがホームズ流ツンデレってやつですかそうですか。

■自然に囲まれて「体に毒だ」と不興顔のホームズ。ベイカー街の狭い部屋を安タバコの煙でもうもうとさせている方が頭が冴える人。

■「妻がいるんです」という告白を聞いたときのホームズの「…は??」とでも言いたげな表情がイイ。

■「でも無罪だと思ってる!」と、両手の人差し指でワトソンを指すホームズ。こういうお茶目な仕草が好きさジェレミーホームズ。

■原作では、真犯人に辿りついたホームズがそれを告発するかどうかで悩んでワトソンに相談するんだけど、ドラマじゃそのクダリないんだね。すごい好きなシーンだから残念。ホームズの人間らしい逡巡と、それを受け止められるのはワトソンだけという関係性と。

■「神のご加護を」って、まさかホームズの口からこんなセリフが出るなんて!

*1:「バジル氏の優雅な生活」

現代の魔術師 クローリー伝

現代の魔術師―クローリー伝

現代の魔術師―クローリー伝

19世紀末から20世紀初頭にかけて、活躍…かどうかはわからないけど、少なくとも世間を騒がせた、イギリスの「魔術師」の評伝。クロウリーという人物本人をどう見るかとかこの評伝自体への評価とか、もやもやと言いたいことはいろいろあるけど、まとまらないので今は置いときます。とりあえず、イギリスの根底に「伝統的に」現在まで残っているある種の「呪縛」みたいなものからの解放を求めて生まれた鬼っ子がクロウリーだったとすると、その存在は興味深いし無視できない。

フィフス・エレメント(その人に影響を与え、価値観を構成する要素となった5つの表現)

空中キャンプさんで取り上げていたのが面白かったので(http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20101018#p1)、私の「フィフス・エレメント」は何かとちょっと考えてみました。

が。
思ったほどスラスラと5つ浮かばない…特に「影響を受けやすい中学・高校時代のエレメントほど可」っていう追加ルールを意識すると、思春期の私はいったい何を楽しみにして過ごしてたんだろかというくらい思いつくものがナイ。私の青春は大学デビュー、あるいは社会人デビューであったかもしらん。そもそもテレビ見ない・音楽聴かない・雑誌読まない*1ので持ち駒が極端に少ない。私の生活を変えたって意味でブログおよびツイッターってのも考えたんだけど、ちょっと趣旨にそぐわない気がしたのでそれは除外。
ま、とにかく5つ。

1.『名探偵ホームズ』
2.『銀河英雄伝説
3.ラーメンズ
4.『男たちの挽歌
5.『宇宙家族カールビンソン

以下、長いので畳みます。

*1:この3つのことにそこそこ興味を持ち始めたのはここ数年のこと

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